通称、夏の全国高校野球。今年の第104回全国高校野球選手権大会に2回戦の後半から3回戦8試合に足を運んだ。去年の夏は無観客での開催となり、一昨年の夏は大会そのものが開催されず、中止となった春のセンバツ大会の代表校のみを招待しての交流試合となった。もちろん無観客だった。
ということで、ボク自身も夏の甲子園は3年ぶりということになった。春は今年も、去年も足を運んだのだけれども、今大会のような制限なしの観客入場という感じではなかったので、空席も目立っていた。それでも、甲子園で高校野球をやっているということが嬉しかったという気持ちにはなれた。そして今大会は、ブラスバンドや応援団も入場して、ネット裏も満員になってみんなじっくりとグラウンドを見つめている。その空気は、いつもの夏の熱気が戻ってきたということを実感できた。
やっぱり、ネット裏のこの雰囲気が夏の高校野球なんだわ
そして、耳慣れたブラスバンドの応援曲が心地よく鼓膜を刺激していく中で、しみじみと「やっぱり、夏の高校野球、甲子園は一つの日本の文化として成り立っているんだな」ということを実感していた。
高校野球そのものということで言えば、ボクの個人的な意見としては現在の二極分化が進んでいる状況は必ずしも「それでいい」とは思ってはいない。やはり、多くの学校が現実を見据えれば「甲子園出場は目標としているけれども、そこに到達する可能性は極めて難しい」ということも実感している。だだ、そうしたすそ野があって、その積み重ねとして頂点に甲子園出場があるのだ。さらには、その代表校の中にもまた、出場したことで目標を達成した学校と、その中でも頂点を目指して、日本一になるという確固たる目標を見据えている学校とがある。そして、現実に勝ち上がっていくのは、やはり最初からそういう気で戦っている学校である。
甲子園に夏の高校野球が帰ってきたことを実感瀬せてくれた
3回戦あたりまで残ってくるのは、ほとんどがいわゆる常連校と言われているところである。それらの学校が非常に質の高い高校野球を展開していた。大阪桐蔭を筆頭に近江、九州学院、愛工大名電、仙台育英、聖光学院、下関国際。そして唯一の公立校で高松商がベスト8に残った。関東勢は姿を消したが、地域的には比較的うまくバラけたかなという印象でもある。
それはそれで、やはり見ていたら面白いし、その一つひとつにもストーリーがありドラマがある。それを追いかけていくのも楽しいし、ボクとしてはそういうチームもや高校野球の面白さも伝えていかなくてはいけないとも思っている。二極分化していく高校野球の現場で、各地区に存在する強豪校や有力校と呼ばれているところが、やはりその地区の高校野球を代表して背負ってきているということは事実なのである。
琵琶湖をイメージしたという近江ブルーもすっかり甲子園に定着
この夏の甲子園は、夏としての初出場は4校あったけれども、春夏通じて甲子園初出場という学校はなかった。おそらく、今後もますますその傾向は強くなっていくであろうことは間違いない。強化をしている学校は、その方針が変わらない限りますます強化を進めていく。だから、上位校は同じような顔ぶれになっていく現実は否めない。高校ラグビーや女子バレーなんかもその傾向は顕著だ。
だからと言って、他の学校の存在が無意味とか、そういうことではない。むしろ、すそ野があるからこそ、頂上が出来上がっていくのだ。そのすそ野を育てて支えて行くことこそが、大事な高校野球の継承文化としての形なんだということを、ボクは久しぶりの甲子園の熱気の中で再認識していた。
多くの地区では、既に来春のセンバツへ向けて新チームは始動している。そして、早くも県大会を目指す地区ブロック予選や新人大会なども行われているのだ。そういう、すそ野の一つひとつも大事だという気持ちは持ち続けなくてはいけないとも思っている。


