最初の日本地図を作ったといわれている伊能忠敬。日本全国を徒歩で回って測量して、17年かけて日本初の実測地図、「大日本沿海輿地全図(伊能図)」を完成させたという。その伊能忠敬の生涯を大河ドラマとして紹介していき、その故郷にもスポットを当てていこうということで企画が盛り上がる千葉県香取市。
ところが、それで郷土の名士伊能忠敬、通称「チュウケイさん」を探っていくと、思いもかけない事実が判明していった。そんな市の職員と200年前を結んでいくのが、映画🎥『大河への道』(中西健二・監督/森下佳子・脚本/立川志の輔・原作)である。
千葉県知事も乗った、伊能忠敬の大河ドラマ化の話。ところが、指名された脚本家がいろいろ探っていくうちに、実は、伊能忠敬は日本地図完成の3年前に亡くなっており、その遺志を継いだ弟子たちが、師の死亡を隠して作業を進めていたということが分かった。と言うのも、幕府から莫大な予算を貰っていながら、道半ばで途切れてしまっては、その作業に関わった者は打ち首にもなりかねない。そんな命を懸けた大仕事になった。そして、それを支えていくのは、歴史には名を残さない人々だったのだ。
ところが、そこにスポットが当たったのでは大河ドラマにはならぬと、今の時代の市の職員たちは苦悩する。こうして、現在と200年前を繋ぎながら話は展開していくが、観る側としては上手にストーリーに引っ張られて入り込んでいかれた。
面白いのは、その市の職員と200年前の伊能忠敬の弟子たちのキャストが被っていて、そのことでスムーズに200年を繋いでいく形にもなる。こういうユニークな手法も面白かった。
ドラマの比重としては、江戸時代の話の方がちょっとウエートが重くなってはいるのだけれども、現在の話は、上手に話を受けて、巧みなオチもあって、何だか上手く納得させられたなぁという感じでもあった。
映像的には、江戸時代バージョンでの、キリリとした北川景子の姿もカッコよかった。現代劇では、テキパキ系のキャリア女子などを演じて映える北川景子だが、この作品では市の職員バージョンの北川景子よりも、伊能忠敬の4人目の妻バージョンの方が、さらに凛々しくてよかったかなぁとも思えた。
そんな作品だったけれども、観ながらも「成程なぁ」と思わせてくれたり「そうなんだぁ」と再認識させられたりという要素もあった。娯楽映画として、ちょっとした面白さやウィットも効いていながら、ちょっとためになる要素もあったような、そんな作品でもあった。
ラストの処理も、楽しいものだった。このあたりは中井貴一の上手さと「サラめし」的な存在感もあるのかなぁとも思った。


