テーマとしては家族が根付いていた『ルパンの娘~劇場版』 | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 劇場版ということなので、元々はテレビドラマか何かでやっていたのだろうけれども、ボクとしてはそれは知らない。だから、チラシからの情報以外は、ほとんどノーインフォメーションで観に行った『ルパンの娘~劇場版』(武内英樹・監督)である。

 泥棒一家の “Lの一族”と言われているところの娘が深田恭子でこれが主人公。実は彼女は家業の泥棒を継ぐことを拒否していて堅気の人生を歩んでいた。しかも、あろうことか、代々警察一家の男と結婚してしまうというところから始まる。その相手が、瀬戸康史だ。

 父親が泥棒引退を宣言して、そのラストワークは“Lの一族”としての大仕事として、某王国の王冠を奪取しようと試みることだ。そして、それを巡って、あれやこれやのいろんな展開が起きていく。

 なぜか関西弁の婆さんが、「これは、家族旅行やな」と言う一方で、正規の泥棒としての一仕事にトライしていくのだ。その工程で、時空を超えた戦いがあって、観ているこっちとしては、そのうち「ちょっとついていけんぞ」というか、「これは何がどうなっとるんだろうか…?」 ということを思いながら観ていた。

 そして、いわゆる泥棒ファッションというか、身体に密着したコスチュームで、深田恭子のスタイルを見せるのも、当然ながらの映像サービスでもある。さらには、途中に大貫勇輔の世界的大泥棒のミュージカル仕立ての演出なんかも交えられている。そうした展開の中で、観ている60代半ばのオヤジのボクなんかは、ついて行くのに懸命だったというところも正直なところでもあった(苦笑)。

 そして、ラストは、何だか結果的ハッピーエンドへ向って行くのだけれども、種明かしと言うよりも、一つひとつの解明の辻褄を合わせていくことになっていく。それを追いかけながら、ボクなんかちょっと時間移送の中で、「その話はいつのことや…?」なんて思うことも、なきにしもあらずだった。

 そして、実は隠れテーマというか(隠れてもいないけれども)、家族ということがあって、泥棒一族の名門?として、その家族の絆もあるんだ…、ということも示していた。そんな、ほんのちょっとだけ、しんみりとさせるようなシーンも交えながら、何となく上手いこと辻褄合わせが成り立っていたような気にさせられたといっていいであろうか。

 泥棒一家の娘と、警察一家の男という関係の、禁断の関係も「ロミオとジュリエット」ばりの禁断の関係性を意識している。それは、今クローズアップされている皇室の女子と、某米国在住弁護士との結婚話とはまた、いささか違う話ではあるが(苦笑)。とは言え、そんな恋愛ストーリーとしては定番に近い内容を示しつつ、それも一応作品の見どころにもなっていたようだ。 

 ただ、最後には、家族の絆みたいな形でまとめていったところに、この作品の着地点がわかったような気もした。映画のテーマとして「家族」というのは、絶対的なものでもあるといっても差し支えはないということを再確認した。

 まあ、娯楽エンタメということで言えば、そんな落としどころでいいのではないかなと思っていた。それに、深田恭子(深キョン?)ファッションも、好きな人やちょっとスケベアイのあるオヤジたちにとっては、体型がぴったりと表れる、コスチュームで楽しませてくれたのではないだろうか…。