笑いながらも、いっぱい共鳴させられた貧乏モノカキの話『喜劇 愛情物語』 | (株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

(株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

ついこの間始めたばかりだと思っていたこの会社も、干支で言うとひと回りを越えて、15年目に突入してしまった。その間には、コロナ禍や事務所の引っ越しも含めていろいろなこともあったかな。そんなことを思うと、まあ、よくここまで持っているかなというところだろうか。

 切実と言えば切実で、身につまされるようなエピソードもいっぱい散りばめられていた。『喜劇 愛情物語』(足立紳・監督・脚本・原作)は、そんな映画だった。ことに、モノカキ稼業やっている者や売れない芸術家、売れない役者や芸人なんかをやっている者にとっては、いくつか笑いながらも共鳴せざるを得ないようなエピソードが散りばめられていたはずだ。

 かつ、主人公は決してストイックではなく、限りなく俗人なのだ。煩悩の塊みたいな男である。そう言ったところも等身大で共鳴する要素にもなろうか。

 それでも、、自分の目指すところがあり、自分の創作への思いだけはある。そして、自分の作品は他の誰のものよりも優れているのだと思い込む信念。そんな思いは、みんなモノカキやアート系の仕事をしている者としては抱いているところかもしれない。

 だけど、いっちょ前の男としてスケベな思いが自分の今の立ち位置を上回ってしまっているというのも俗人の俗人たるところでもある。

 そもそも、モノカキなんていう稼業はなかなか一本立ちして食えるものではない。それは映画監督もそうだし、画家とか作曲家なんかもそうだろうけれども、現実にはそれだけでは食えんのよ。だから、ボクはよく言うんだけれども、「モノカキやアーチストの理想はヒモ生活」ということである。つまり、支えてくれるしっかりした働き者のパートナーを得ていることが大事なのである。

 だけど、ボクを含めてほとんどの場合そうはいかない。そんな奇特な女性など、そう簡単に自分たちの周りに現れてくれるものではない。だから、文句は言う、愚痴は言う、挙句に喧嘩。実績のないアーチストやモノカキはひたすら耐えながら、それでも何とか食わしてくださいみたいな感じになっていかなくてはいけなくなる。

 ところが、その食っていく手段さえ自分で稼いでいかないといけないとなると、当たり前なんだけれども、だんだんいわゆるクリエーティブな作業に対しての意欲が失せてきてしまう。そして、安易な今に流れていくのである。

「これではイカン」

 と、ふと思ったりして少し頑張ってみるのだけれども、たちまち日々の生活に追いかけられていくというありさま。そんなことも、自分に顧みながらも、ちょっと苦笑しながら見ていたというのも事実だ。

 そもそも、これは足立紳監督の原作でもあり脚本でもあり、現実でもあったようだ。だから、とても説得力がある。そして、その鬼妻役の水川あさみが、とてつもなくリアルだった。そうだ、そういう女おるなぁという感じである。

 映画的には、大久保佳代子のどこかにいそうな熟女のエロさや、夏帆と水川あさみの学生時代の友だち同士の愚痴含めた女同士でのエロトークなんかもとても、さもありなんという感じで面白かった。そういう意味でも、見心地のいい好作品だったと思う。

 そういえば、2008年に『アキレスと亀』という北野武監督・脚本の映画があった。

 夢を追い続ける売れない中年画家と、その夫を励ましながらともに夢を追う妻の20数年間をつづる人間ドラマで、北野監督独特のブラックユーモアを散りばめながら、他人から見ると呆れて見えるくらいの妄信的夫婦の愛情を映しした作品だった。作品では、妻は夫の才能を信じていた。

 ビートたけし自身が主演し、その妻役の樋口可南子の姿に、本当の意味の幸福が垣間見える。穏やかな感動に包まれたような気もした。そんな作品もふと思い出していた。