ハロルド・フライのまさかの旅立ち | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ハロルド・フライのまさかの旅立ち

59点

本国イギリスで初登場1位、日本ではミニシアターランキングで2週連続1位になった話題の作品。
主人公は定年退職し妻と平穏な生活を送っていた爺さん、ハロルド・フライ。彼のもとにかつて一緒に働いていた女性から、余命わずかと知らせる手紙が届く。800キロ離れた彼女のもとへ、徒歩で向かう展開。
設定は2022年作品『君を想い、バスに乗る』によく似ている。SNSで話題になるという設定も一緒。あちらはバス移動だったがこちらは歩きというのが大きな違いなので、印象も違うっちゃ違うんだけれど。
さて本作、実話を元にしているそうだが、予告やポスターで見るようなコミカルさは映画が進むごとに失われ、徐々にシリアスになっていく。
終盤は特にハロルド爺さんの懺悔・贖罪へとテーマが変わり、意外さはあったもののそこは期待したような感動はなかった。おそらく見たあと「思ったのと違う」と感じた人が多かったのでは。笑えて泣けるような心暖まる雰囲気を期待すると肩すかしを食いそう。
劇中で出会う人は良い人ばかり。ロードムービーとして見るとそれなりのクオリティを維持しているものの、やはりクライマックスからエンディングへの深刻な流れ、そして徐々に明かされるハロルドの過去の悪い行為、そして明かされなかったいくつかの真相など、だいぶ本筋から逸れた内容で、エンドロールが上がるときにはこれじゃない感が頭の中を駆け巡った。逆な意味で「まさかの旅立ち」。

タレントのLiLiCoさんが某番組でこの映画を涙ながらに紹介していたけど、この人何見ても泣くよね。俺に欠けてるのはそういう素直な感性なのかな(笑)。

監督:ヘティ・マクドナルド
出演:ジム・ブロードベント、ペネロープ・ウィルトン、リンダ・バセット、アール・ケイブ
2022年  108分
原題:The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry