落下の解剖学 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

落下の解剖学

67点

2023年のカンヌ映画祭最高賞(パルムドール)受賞作品。でも検索すればわかるが、パルムドールってだいたい無名の作品ばかり。本当に最高賞なの?って首をかしげるような作品も獲っている。まぁそもそも映画祭と映画賞ってまるで違うものなのだが、その辺の指摘についてはいずれまた。
さてここはネタバレしてますので注意。

フランスの山奥にある山荘で小説家ヴァンサンが転落死する。嫌疑をかけられた妻サンドラ、現場にいた11歳の盲目の息子ダニエル。裁判で暴露されていく家族の軋轢、という展開。
結果的にこの映画、実は最後まで真相は明らかにならない。裁判で結論が出るだけで、サンドラが本当にやったのかどうかはわからないエンディングになっている。最近こういう丸投げのサスペンス多いよなぁ、という印象。

余韻を残した終わり方が好き、という人もいるようだが、個人的には良い締めが見つからなかったから、曖昧な終わり方に逃げているようにしか見えなかった。
2時間半という長めの時間の中、映画は美しい雪山映像に刺激的な映像(特に犬)を交えて退屈しない構成になっている。当然そこは犯人捜しだけでなく、夫婦間が抱える問題点をあぶり出した人間ドラマに重きを置いているということなんだろうけど、果たして見ている側で真相を知りたくない人いるのかな?って話になってくるわけで。

2017年に数多くの映画賞に輝いた作品『スリー・ビルボード』も、散々煽って真相は結局中途半端に終わらせていたが、近年あらゆる映画がネタ切れの時代なのかなとちょっと残念。

監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ
2023年  152分
英題:Anatomy Of A Fall