ボーはおそれている | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ボーはおそれている

58点

『ヘレディタリー 継承』『ミッドサマー』のわずか2本で若手ホラー映画監督のトップに登りつめたアリ・アスターの、注目の長編映画3作目。主演は『ジョーカー』のホアキン・フェニックス。
上映時間179分、R-15指定。そして最後まで見ればわかるが、とにかく奇妙な作品。
ストーリーを要約すると、主人公ボーの母親が死んで葬式に向かう。その前後に起こる出来事をダラダラと垂れ流した話。
世界観はどこかジム・キャリーの『トゥルーマン・ショー』に似ている気がした。ただエログロ、そして意味不明度はこちらの方がはるかに上。ホラーと言うよりはむしろブラックユーモア満載のコメディといった感じだが、なにしろどぎつい映像もてんこ盛り。

映画は冒頭から頭おかしい連中がちょこちょこ顔を出すも、それでいて日常は保っているので、その辺の違和感が終始映画を支配している。
起承転結は曖昧で特にオチがあるわけでもなく、3時間近く引っ張って突然終わる。エンドロールを見ながらこんな終わり方でいいのか、と思った人もたくさんいただろう。
ネタ切れと言われて久しいハリウッド。個性を持った作品を作るには、もはやこれだけブチ切れた内容じゃないとダメなのか。

アリ・アスター監督まだ36歳。自らの存在をアピールするために、「よくわからないけど凄そう」という方向へ誤魔化してるようにしか見えない。誰が見ても面白い映画を作るのができないから、こういう手法を取ったのではないのかと勘ぐってしまう。
少なくともアリ・アスター全く知らない人が突然この映画見せられたら、なんじゃこりゃとしか思わないであろう一本。21世紀はまだ前半だが、映画界はすでに世紀末の様相。


監督:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、ヘイリー・スクワイアーズ、ドゥニ・メノーシェ、アルメン・ナハペシャン、カイリー・ロジャース
2024年  179分
原題:Beau Is Afraid