哀れなるものたち | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

哀れなるものたち

80点

まず本作はR-18指定。エロシーンや辛辣なブラックユーモアがてんこ盛り。『アメイジング・スパイダーマン』『ラ・ラ・ランド』などでお馴染みエマ・ストーンが主演だけど、彼女が好きで美しい幻想を抱いてるファンは見ない方がいい。


一見してまずティム・バートン監督やテリー・ギリアム監督作品を彷彿させる、ある意味おとぎ話。個人的には『シザーハンズ』あたりを少し思い出した。背景の映像美も心に残る。
しかしとにかく内容はどぎつい描写のオンパレード。


舞台はビクトリア朝のロンドン。橋から飛び降り自殺した女性ベラ(エマ・ストーン)が主人公。科学者(ウィレム・デフォー)が、死んだ彼女に赤ん坊の脳を移植して蘇生させ、体は大人だが知能が赤ん坊というベラが誕生。彼女の珍道中を描いた物語。
時代とは裏腹のSFチックな街並みに、ベラの奇想天外な行動がメイン。自慰行為も性交も容赦なく繰り返されるものの、映画自体にそれほどいやらしさが感じられないのはベラ自身をコミカルに表現した、風変わりなスタイルが根底に存在するからだと思う。
しかし過去に散々美女を演じてきたエマ・ストーンが、近年はキワモノ役を演じる事も多く、特に本作を見るとそこは目を背けたくなるような場面も多々あり、映画としては面白いんだけどエマ・ストーンどうしちゃったの?と感じたりもしてそこは実に不思議な印象。
怖い物見たさというか、見てはいけない物を見てしまったというか。あくまで女性ではなく個性派役者として、エマ・ストーンがひと皮むけてしまった。そこを賛と取るか否と取るか。
やっぱり本場ハリウッドの体当たり演技は半端ないと、衝撃受けた人も多かったのでは。個人的にもこの映画をどう受け止めていいものか、見終わったあと感想に苦しむ。

監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、ウィレム・デフォー、マーク・ラファロ、クリストファー・アボット
2023年  141分
原題:Poor Things