PERFECT DAYS | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

PERFECT DAYS

93点
『パリ、テキサス』などでお馴染みドイツ人監督ヴィム・ヴェンダースが、東京都心を舞台にトイレ清掃員オッサンの日常を描いた異色の作品。
単純にタイトルだけ見て思ったが、同じ役所広司主演では『すばらしき世界』を彷彿させた。そこはシンプルだが意味ありげな題材。
役所さん演じる清掃員は、そのタイトルにあるように完璧主義者。しかし他人にルールを強要するような厳格な人物、というわけではなく、あくまで毎日規則的な行動をするタイプ。仕事用の車には掃除道具や備品のストックを常備し準備万端。音楽は70年代あたりの古いロックを好む。仕事を終え銭湯に行き、行きつけの飲み屋で一杯。家では時おり読書。こんな毎日。共に仕事をする若者(柄本時生)がサボっても文句言わない。自分のルーティンに対しての完璧主義者というわけ。
そのPERFECTな日常が、些細な出来事によって少し変化するのがこの映画の軸。毎日同じに過ごしていても、生きていれば様々な良い事悪い事が降りかかる。平凡を描いた少しの非平凡な作品。個人的にこんな映画が大好き。
特に涙が出るような大感動はないし、見る人によっては平坦すぎて眠くなるかもしれないけど、リアルな人間味のある生活臭あふれた作品が好きな人におすすめ。
こういう映画、家で酒でも飲みながらもう1度のんびり見たい。

監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
2023年  124分