首 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

85点

ビートたけし6年ぶりの監督・主演作品。戦国時代の「本能寺の変」が起きたいきさつを、たけし独自の視点で描く。
ぶっちゃけ見る前は何も期待してなかったけど、良い意味で裏切られた。結論から言うと、とにかく面白い。
『アウトレイジ』の時代劇版。ただこちらはコメディタッチの部分が3割くらい、シリアスな部分が7割くらいの絶妙なバランス。例によってたけしのくだらないギャグが、ここでは見事にハマっているように感じられた。
そして想像よりはるかにグロい映像の連発。しかし単にバイオレンスで済まさず、シュールなタッチで史実を無視し、今どきの多様性も取り入れた型破りな手法。たけしのインタビューでは「NHK大河ドラマは綺麗」と言っていたが、既存の時代劇に背を向け、久しぶりに好き勝手に映画を作った印象。
タイトルに関しても当初は幼稚に感じていたものの、相手を倒すことを「首を獲る」なんて言う事もあるが、本作ではバンバン首そのものを切り落とす。映画を見終わってから「首」に実に色んな意味が含まれていることに気付かされた。
監督としても役者としても北野武という人物は不思議な魅力を持っていると改めて再確認。万人にアピールする作品では全然ないけれど、客に媚びないその姿勢が伝わってくる、あまり人におすすめできないが、これぞ世界の北野と思える破天荒な一本。

監督:北野武
出演:ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、遠藤憲一、勝村政信、寺島進、桐谷健太、浅野忠信、大森南朋、荒川良々、寛一郎、小林薫
、岸部一徳
2023年  131分