志乃ちゃんは自分の名前が言えない | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

84点
テレビドラマ『ワカコ酒』を手掛けた湯浅弘章監督の2018年作品。高校1年生役の南沙良、蒔田彩珠主演で同級生役に萩原利久も出演している。
人前に出ると極度にどもり話せなくなるが、歌は上手い主人公・大島志乃(南沙良)が中心の話。たまたま仲良くなったクラスメート(蒔田彩珠)と組んで、2人組の音楽ユニットを結成する展開。1人が歌い、1人がアコースティックギターを弾いて路上ライブに挑戦する。
そしてこの2人に、お調子者だが友達がいない男子・菊池(萩原利久)が絡んでいく。3人とも変わり者で、クラスでは浮いた存在。当然、音楽も人間関係もなかなか噛み合わないところが映画の味噌。

本作は文部省選定。志乃が吃音症のような症状を見せ、そこをなんとか克服しようと頑張るところが学校教育にふさわしいと評価されたのかな。ただ鼻水垂らしながら号泣したりとその辺の描写がかなりリアルなので、南沙良の可愛さ目当てで見るとドン引きする可能性アリ。

思い通りにいかない2人の女子と1人の男子だが、自分としてはやはり男子の立場を見てしまう。やることなすこと反対に出る菊地の存在を自分に照らし合わせてみたり、感情移入もできる内容。

登場人物同様に、映画としても実に不器用な構成。特にラストで何かを成し遂げたり解決したりするわけではないので、感動を求めると肩すかしを食う部分もあるけれど、現在大活躍している3人の役者がブレイクするきっかけとなった作品と思うと興味深い。

個人的にはおすすめの1本。


監督:湯浅弘章
出演:南沙良、蒔田彩珠、萩原利久、渡辺哲、池田朱那、奥貫薫
2018年  110分