ルー、パリで生まれた猫 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ルー、パリで生まれた猫

68点

パリ舞台のフランス映画。屋根裏でクレムという10歳の少女に保護され、ルーと名付けられた子猫の物語。
クレムの両親が不仲で、家庭の悩みも描きながらも、子猫ルーの猫目線で撮影された演出も多い構成。猫の可愛さを前面に出したあざとい描写もやたら出てくる。

けど個人的にYouTubeでの飼い猫動画も多く見ていたので、この映画は作り物の猫のような印象があまりに強く、感情移入はいまひとつできなかった。
少女の家族と猫のほか、後に森で出会う老婆のマドレーヌがいい味出しており、この婆さんの存在が物語の良いアクセントになっている。
ただ両親の夫婦喧嘩や、クレム自体の自分勝手さなど、妙に人間臭いリアルな部分も突き付けていて、全体的にどうにも中途半端なイメージはぬぐえなかった。単純に少女と猫と老婆が森の一軒家で住むだけの作品にした方がよかったかも。まぁそれだとそもそもこの作品の製作意図すら否定することになるんだけど(笑)
想像したのとは半分が一緒で、半分が違った。猫の可愛さは味わえるものの、どこか作り物感が否めない。そして家族間の軋轢の方がやたら現実味あふれるという、なんともアンバランスな印象で感動も無く、これなら先のYouTube動画の方がよかったかな。期待していただけに少し残念だった作品。

監督:ギョーム・メダチェフスキ
出演:キャプシーヌ・サンソン=ファブレス、コリンヌ・マシエロ、ニコラ・ウンブデンシュトック、リュシー・ロラン
2023年  83分
原題:A CAT'S LIFE