エスター ファースト・キル | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

エスター ファースト・キル

62点
前作から14年ぶりの続編は、『エスター』がどうしてああなったかを描いた前日譚的ストーリー。
エスターを演じているのは同じくイザベル・ファーマンだが、年を取っているはずなのにほぼ違和感がないのが上手い。

たださすがに物語は無理矢理作った感がありあり。個人的に知りたかったのは、なぜエスターがこんな屈折した人格になったのかという部分だったんだけど、本作で明かされるのは単に「エスター」と名乗るようになった理由だけにすぎない。

全体的にも、直球勝負の不気味さが心地よかった前作に比べると、本作は演出が変化球で少々ややこしくなってしまった印象。早い話がわかりづらい。
映像はグロい描写が抑えめでほどよい怖さ。ただ少女エスター自体は、すでにこちらは正体を知った状態なわけで特に驚くべき事実も判明せず、思った通りの進行なのは前日譚の弱点を露呈した形になってしまった。意外性は少ない。
まぁ昨今のハリウッドのネタ切れは深刻で、このレベルのホラー映画続編を作らなければならないほど行き詰っているということなのかな。
前作でエスターは死んでしまっているので仕方なく前日譚にしたんだろうが、やはりそこは企画そのものに無理があったように思えた。

監督:ウィリアム・ブレント・ベル
出演:イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド
2022年  99分
原題:Orphan: First Kill