戦場のメリークリスマス 4K修復版 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

戦場のメリークリスマス 4K修復版

52点

1983年に公開されたあの作品を2023年に4K修復版としてリバイバル上映。音響はイマイチだがなるほど映像はかなり綺麗。
1942年、日本統治下のジャワ島収容所が舞台。日本人上官と西洋人捕虜の物語。
ストーリーは単純。戦争が織りなす狂気を全編が支配するも、映像的にそれほどエグい描写はない。ライトな同性愛描写が、今のポリコレ時代にマッチしている感がありリバイバルのタイミングとしては悪くない。

しかし内容自体はあまり深いように見えず、当時は奇抜だったかもしれない演出と、豪華なキャストだけが映画の存在感をアピールしている印象。「この映画は常人には理解不能」と持ち上げる人もいるが、単に稚拙だったようにも感じられる。
それでもデヴィッド・ボウイ、坂本龍一の存在感はやはり圧巻。ビートたけしの怪演も一歩間違えばただのギャグなところが、お笑いでも映画界でも実績を積んだ今見ると「たけしスゲー」と言う人も多いんだろうしそこは否定しない。
日本人なら誰でも知っているであろうあのテーマ曲や、ボウイが坂本さんにキスする場面、そしてたけしの「メリークリスマス、ミスターローレンス」のセリフ。どこを切っても名作なのは間違いないけれど、思い入れがない自分からするとなんだろう、ただの記録映画を見ているような錯覚に陥った。現在の邦画ファンにとっての「教科書」のような作品かもしれない。でも教科書って読んでも面白くないでしょ?(笑)

監督:大島渚
出演:デヴィッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、ビートたけし、ジャック・トンプソン、ジョニー大倉、内田裕也
1983年  123分
英題:Merry Christmas, Mr. Lawrence