ザ・メニュー | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ザ・メニュー

65点

孤島で営業する、なかなか予約の取れない高級レストラン。そこへ招かれた12人の客にもてなされる数々のメニュー。

食いしん坊の興味をそそる楽しそうなオープニングだが、映画は徐々にサスペンス色が強くなり中盤以降はどんどん壊れていく。なんとも奇妙で異色なブラックコメディ。
全編見終わった印象は、アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』を思い出した。そしてこれは色んな人が感想で言ってるけど2019年の北欧ホラー『ミッドサマー』をどこか彷彿させる。
レイフ・ファインズ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトなど登場人物がひと目見たら忘れない個性派揃い。怖いというよりはアメリカンジョーク的な表現が多く、その点不思議な作品ではある。
しかし終盤、シェフが驚きの凶行に走る動機がなんとも曖昧で、どうにも理解に苦しむ描写も多い。序盤からのアイデアは秀逸だが、この先どうなるのかと興味津々で見ていると、メチャクチャやってるようで意外とあっさり締めるラストに肩すかしを食ったり。

というわけで前半は95点、中盤は80点、後半は60点、締めは40点。つまりどんどんつまんなくなっていく印象。映画の終盤はもはや「これでいいのか?」と説教したくなった(笑)

奇抜な内容だけど奇異をてらいすぎて若干コケてしまった感じ。映画は凝りすぎても良くなるとは限らないのだ。

監督:マーク・マイロッド
出演:レイフ・ファインズ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ホン・チャウ、ジョン・レグイザモ
2022年  107分
原題:The Menu