貞子DX | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

貞子DX

9点
劇場版『リング』シリーズの9作目。だがとりあえず過去作との繋がりは薄いので、1998年の初代『リング』さえ見ておけば内容的には問題ない。
さて『リング』といえば「呪いのビデオを見たら7日後に死ぬ」という設定だったが、今回は「見たら24時間後に死ぬ」と変更されており、またいちいちビデオデッキを引っ張り出さなくても、ネットで拡散するという裏技のおかげで物語がスピードアップしている。
そして今の時代、すでに「貞子」というキャラクターがギャグみたいな存在になってるのは仕方のないところ。まぁ本作でもそこは開き直っているように見えるものの、映画としては全編バリバリ深刻なホラー。しかし全然怖くなくて全編コントみたくなっているのが失笑。

主人公は小芝風花演じるIQ200の天才大学院生・文華、しかし天才のわりに誰でもわかる謎解きができておらず、映画見てる人から「なんでそれ気づかないかね」と突っ込み入りそうな場面がちらほら。
そして注目のラストは、見ている我々観客にすら伝染するという今どきのオチ。貞子誕生から24年たつが、なるほど紆余曲折ありながらも映画自体は進化を続けている印象。

しかしホラー史に残る名作だった初代『リング』を見た時の震えるような衝撃はもはや皆無で、下手すれば粗悪のテレビバラエティと勘違いするような演出はもはや狙っているのかと思ってしまう。
『呪怨』の伽椰子もそうだけど、ここはキッチリ完結させてリングも貞子も成仏させてあげたいところ。じゃないともはやここまでくると、見ている俺らの方が先に死んでしまいそうでそっちのが怖い(笑)

監督:木村ひさし
出演:小芝風花、黒羽麻璃央、西田尚美、八木優希、池内博之、渡辺裕之
2022年  99分