耳をすませば(実写) | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

耳をすませば(実写)

46点

ご存じスタジオジブリの人気作をまさかの実写化。しかし基本的にアニメ版や原作とは設定がちょこちょこ変えてあるのが違和感。
まず映画の序盤は主人公・月島雫の中学時代と10年後が交互に描かれる。中学時代のエピソードはアニメ版にかなり忠実。この雫を演じた子役(安原琉那)がいい味出してるなぁとは思った。
ただ大人になった雫と天沢聖司は清野菜名と松坂桃李が演じていて、とにかくここが一番合っていない。聖司はバイオリン職人ではなくチェロ奏者を目指しており、さらにオリジナルでベースになった曲「カントリーロード」が「翼をください」に変更されていて、なぜか主題歌を歌ってるのが杏。その辺これでもかというくらいジブリから改悪されている感じ。
ではそこをアニメ版から完全に切り離して見たとしても、1つのラブストーリーとして短絡的に感じられた。そもそも中学時代に出会った雫と聖司、そこまで惹かれ合うような義理も付き合いもないわけで、例えば10年たったら新海アニメ『秒速5センチメートル』みたいに忘れちゃってもおかしくないよね。


監督は『ROOKIES〜卒業〜』の平川雄一朗。彼の作品だと『ツナグ』『記憶屋あなたを忘れない』あたりになるほど映像の雰囲気が似てるなぁと感じた。イマイチ面白くないところもこの監督らしさが出てる(失礼)。
現実味は薄く、かと言ってリアリティにも欠ける。アニメからの流れとして無理矢理に雫と聖司をくっつけた、みたいなラストの強引さ。結局こういうオチなら実写化する意味がほとんど感じられなかったように思える。トップコートが清野菜名と松坂桃李のキャリアのためだけに作ったような印象。

監督:平川雄一朗
出演:清野菜名、松坂桃李、山田裕貴、内田理央、松本まりか、田中圭、近藤正臣、安原琉那、中川翼、荒木飛羽
2022年  115分