さかなのこ | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

さかなのこ

37点

さかなクンの自叙伝「さかなクンの一魚一会」をまさかの実写映画化。監督は『南極料理人』でお馴染み沖田修一、主演のさかなクン役はなぜかのん(能年玲奈)。共演者も意外と豪華な顔ぶれ。
個人的に監督・主演2人とも好きなので楽しみに見たけれど、結論から言うとイマイチ。
沖田監督で言うと全体的に『横道世之介』にテイストが通じている。1人の半生をダラダラと、しかしどこかコミカルに、そこそこ長めの時間を割いて描く構成。

さかなクンをのんに演じさせたことについては「性別は重要ではない」そうで、そのキャスティングも含め随所に思わず吹き出してしまう楽しい部分がバラ撒いてある。

ただ完全なコメディ作品かと言うとそうでもなく、しんみりする場面やシュールなシーンも多く、ファンタジーを連想させるラストでもただのおバカな内容ではないことが伺える。
しかし沖田監督ファンから言わせてもらうと、この人は『モヒカン故郷に帰る』あたりから徐々に迷走しているように見えるんだな。そもそもの題材が奇想天外すぎて、観客置いてけぼりの印象。見に行った映画館もガラガラだったけど、なかなかこれで客を呼ぶのは難しいと思うぞ。

本作もさかなクン♂をのん♀に演じさせ、詰襟の学生服を着させたり、無理に変な喋り方させたり、『あまちゃん』を彷彿させる部分もチラリと入れたり、奇妙さだけが独り歩きしてる感じ。

映画作るならそこは狙いすぎずもっと自然な形でいいのに、とは思った。まぁつまりは元々の企画に無理があったのでは。ってかこのアイデア出したの誰だよ(笑)

 

さてのんさんもそろそろ30歳。もう地上波のドラマで復活はないかな・・・といちファンとして諦め始めてる。

監督:沖田修一
出演:のん、柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗、岡山天音、西村瑞季、鈴木拓、島崎遥香、豊原功補、井川遥、さかなクン
2022年  139分