ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

78点
『ジュラシック・ワールド』シリーズの完結編。前3部作の『ジュラシック・パーク』から数えると実に29年目で、今回はグラント博士など懐かしいオリジナルキャストをズラリ揃えている。まぁ昨今のハリウッドシリーズものの流行りに乗ったというところか。
前作までストーリーの核になっていたラプトルのブルーは、意外と今回は思ったほど活躍せず。かわりになぜか恐竜でもないイナゴの大群が大暴れなのがまず萎える。
サム・ニールとローラ・ダーンの再登場は胸熱になった人も多いだろうけど、シリーズ中の他の過去メンバーが勢揃いすぎて、逆に人数が多く誰が誰だかよくわからんというまさかの欠点も。
前回エンディングで「人間と恐竜の共存」を選んだわけだが、恐竜を密漁して商売にする悪人が出てくるのもマンネリ。ストーリーに真新しい部分はないなぁ。クローン少女のメイジーちゃんが誘拐されるというありがちなアイデアもいただけない。
例えば29年前のシリーズ第1作のような、ストレートでわかりやすい展開なら面白かったんだが、やはり6作も積み上げると小賢しいいらない設定が増えてしまい、全体的に人間関係がゴチャゴチャしてしまった印象がぬぐえない。
2時間半近い長尺で派手な場面も多いけれど、退屈だと思う部分も相当あったのは想定外。そもそも人間を見ると無条件で襲ってくる恐竜がワンパターン。壮大なシリーズなのに陳腐な勧善懲悪、つまり悪い奴をやっつけて終わりという安直なエンディングなのも今の時代どうなのかな。俺なんかがこの世界観にいたらやられる方なんだろうな(笑)

『スパイダーマン』が綺麗に完結し、『トップガン』が見事に蘇生したのとは対照的に、こっちは少し不満が残る締めとなってしまった。単発で見たら面白かったと思うけど、壮大なシリーズのラストとしてはあと一歩。

監督:コリン・トレヴォロウ
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、イザベラ・サーモン、サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、ディワンダ・ワイズ、キャンベル・スコット、B・D・ウォン
2022年  146分
原題:Jurassic World: Dominion