流浪の月 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

流浪の月

60点
第17回本屋大賞を受賞した原作を、『悪人』『怒り』など何とも後味悪いサスペンスものを作った李相日監督が映画化。全編、衝撃的な映像と物語が映画を支配している。
家庭に問題のあった10歳の少女・更紗が家出して19歳の青年・文と同居。その後青年は誘拐犯として逮捕されるも、15年後に2人が偶然出会う展開。
広瀬すず、松坂桃李、横浜流星とお茶の間でも人気者の俳優3人が出演だが、あえてこの3人にわざとインパクトのある役をやらせてるように見えた。
ロリコン誘拐犯のレッテルを貼られた文役の松坂桃李、そして成長した更紗役の広瀬すず、更紗の彼氏役で常に暴力をふるう横浜流星。三者三様の体当たり演技を、李監督お得意の暗い構成で演じさせ、全体的になんとも見ていてどんよりする色に仕上げている。

特にラストにこれと言ったどんでん返しは用意されておらず、あぁここで終わるんだ、みたいなエンディングでなおさら無機質な印象が際立つ。

そりゃまぁこの3人にしたら演者としてのステップアップになったかもしれないが、もっと無名の役者が演じてたら、また違った感想になったかもしれない。なんか見てるこちらとしたら、この映画にこの3人必要?と思ってしまう。そのくらい暗さと重さが役者にミスマッチ。

つまり題材に合ったキャストを集めたわけじゃなくて、人気俳優のためにこの映画が無理に作られた印象。広瀬すずのベッドシーンとか興味本位でこの映画を見ると、見終わった後なんかしっくりこない違和感があると思う。

監督:李相日
出演:広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、内田也哉子、柄本明
2022年  150分