シン・ウルトラマン | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

シン・ウルトラマン

86点
『シン・ゴジラ』の製作陣が集結し、1966年にテレビで放送されたあの『ウルトラマン』をリブートという形で復活させたのが本作。
冒頭から旧式の、例の有名な絵の具を使った『ウルトラQ』のタイトルバックになぜかシンゴジラの文字。全編を支配するオマージュやお遊びの数々は、オールドファンならずともニヤリとする場面がてんこ盛り。
CGは本格的だが、レトロな雰囲気をも残し、個性的な今どきの俳優たちが昔のSF活劇を再現している。役者の魅力は見どころのひとつ。
巨大怪獣から外星人まで、テレビシリーズでお馴染みだった宇宙人が次々と襲ってくるが『シン・ゴジラ』と違って国や政府をあげて対処はせず、あくまで「禍特対(カトクタイ)」の4人を中心に物語は進む。特に長澤まさみの意外な目立ちっぷりは思わず吹き出してしまうほどで、そこは見てのお楽しみ。
1966年版は子供向け、そして今回のリブート作はおそらく成長した大人へ向けたメッセージだろうとは思うけど、例えばゾーフィの存在とゼットンとの対戦など、少しずつ旧作と変えてきているところで過去作を知ってる大人からしたら、賛否両論になっていると思う。
個人的には全体のテンポの良さと、2時間弱というちょうどいい上映時間、そして実はあまりウルトラマンを詳しくは知らないという思い入れの無さが逆に本作を楽しめる要因になった。なのでむしろ、まっさらな状態で見た方がもしかしたらいいのかも。
派手さから言うと『シン・ゴジラ』には劣るが、コンパクトで単純な楽しさは本作の方が上の気がする。まさに令和のウルトラマンここにあり、という印象で、ちょっと興奮した自分がいた。

ただ一つ、権利関係だかなんだか知らんがバルタン星人出なかったのが残念すぎ。そこはどうにかしろよ。

監督:樋口真嗣
出演:斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、西島秀俊、田中哲司、島田久作
2022年  113分