死刑にいたる病 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

死刑にいたる病

64点
先週に引き続き、サイコパスを扱ったサスペンス作品。なんだかんだこういうジャンル好きです(笑)
監督は『凶悪』『孤狼の血』など強烈なバイオレンス描写を得意とした白石和彌。
パッとしない大学生活を送っていた主人公青年(岡田健史)が、たまたま知り合いだった、8件の殺人事件で起訴された死刑囚から「9件目の冤罪を晴らしてほしい」との手紙を突然もらう展開。
白石監督の過去作だと派手な暴力が売りの印象だが、今回はどちらかと言うとネチネチと精神的に攻める感じ。ただ被害者を拷問するシーンなんかはキッチリとグロく描かれているため、映像的怖さも相変わらず兼ね合わせている。
原作に比べるとかなり淡白な印象。そのため映画だとやや難解というか短絡的というか、まぁ2時間の枠で表現しきれずそこはちょっと残念な出来。
犯人役の阿部サダヲは賛否両論別れそう。テレビのバラエティによく出ている彼を知ってると、どうもサイコパス殺人鬼に見えないという人も多そう。
『羊たちの沈黙』を引用したであろうシーンもあるものの、オマージュなんだろうけどパクりに受けとってしまいそうで、緊張感にやや欠ける。というわけで、本来なら衝撃となるはずのラストも、ケチのついた描写が多くなんか冷静に見てしまった。どうも邦画は不必要に身近なイメージがあったりして、素直に怖がれない弊害があるなぁ。
あと個人的には岡田将生主演のサスペンス『重力ピエロ』をどこか彷彿させた。全体的に悪くはなかったけれど、予想の範囲内でゾッとする部分はイマイチ少なかった。

監督:白石和彌
出演:阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、宮崎優、佐藤玲、中山美穂
2022年  128分