ハッチング-孵化- | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ハッチング-孵化-

63点

先週のミニシアター興収ランキングで1位になった映画。フィンランドの女性監督が手掛けたなんとも個性的なホラー作品。

同じ北欧ホラーだと『ミッドサマー』をなんとなく彷彿させた。タイプやストーリーは違うんだけど、全体的な雰囲気になんとなく通じる点があるような印象。北欧ってだけでもそういう空気感があるんだろうか。
12歳の少女がカラスの卵を拾い、自分の部屋に持ち帰って育てたらどんどん大きくなって孵化する展開。彼女が育てる不気味な卵だけでなく、不倫をしている母親、それを黙認する父親、そして不倫先の家にいる赤ん坊など、ストーリーが徐々になにやら奇妙な方向へと進んでいく。
グロ描写はそれほどリアルではないが、孵化した卵が〇〇に変身(見てのお楽しみ)したり、動物の死骸や嘔吐物などを容赦なく描いたり、もうその辺は気持ち悪いの一言。
ただその人間の忌まわしい感覚を刺激するような描写は、とても女性監督とは思えない映像。これが長編デビュー作だそうだけど、今後ものすごい監督に化けそうな気がしないでもない。しかし基本的に卵拾ってきてそれ孵化させるだけの内容を、よくもまぁここまであれこれ膨らませて異常な世界に表現できたものだと少し感心。

そして1200人のオーディションで選ばれたという主人公少女、シーリ・ソラリンナがメチャクチャ可愛い。やっぱり主演が美形だとこの手の作品は映える。
まぁしかしホラー嫌いな人が冷静に見たら、やっぱり不快さが目に付いた異色派なんだろうな。近年のホラーはとにかく一筋縄ではいかない内容が多いけれど、本作も問題作のひとつ、つまり見る人によっては嫌悪感を示す映画なんだろうと思う。

監督:ハンナ・ベルイホルム
出演:シーリ・ソラリンナ、ソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ボラネン、レイノ・ノルディン
2021年  91分
原題:Pahanhautoja