私はいったい、何と闘っているのか | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

私はいったい、何と闘っているのか

46点
芸人・つぶやきシローの小説を実写映画化。監督は『デトロイト・メタル・シティ』『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』の李闘士男。
スーパーで働く45歳のありふれた気弱なオッサン・春男(安田顕)が主人公。家庭と仕事での奮闘をコミカルな演出で、どちらかというとドタバタと描いた個性的な作品。
勤続25年で店長を目指す春男が、誤発注や不正内引きなどトラブルに対峙。家庭でも娘の婚約や妻の過去のしがらみが明らかになっていくなど、わりと盛沢山な構成。

ただ当初は身近にありそうな設定だったのが、進んでいくうちにどうにも物語がありえない方向にシフトチェンジしていく。まぁそこはコメディなのでエンタメ性の演出はいいんだが、そうなると意外とストーリーが面白くないんだな。現実にこういうオッサンいそうなところから始まっていたのに、結局話をまとめきれずテーマも分散してしまった感がある。原作は読んでないけど、そこが芸人の書いた小説の限界なのかな、と勘繰ったり。
安田顕の演技はわかりやすいもの、予告を見るだけでキャラが想像できてしまい、意外性はほぼない。こういう映画なんだろうな、と思ったらその通りだった感じ。
シュールなコメディ作品を作りたかったのは伝わってくるけど、笑いも脚本も中途半端になってしまった印象。というわけであまり面白くなかった。

監督:李闘士男
出演:安田顕、小池栄子、岡田結実、ファーストサマーウイカ、SWAY、金子大地、伊集院光
2021年  114分