007/ノー・タイム・トゥ・ダイ | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

90点

ここはネタバレしていますので注意!

2006年『カジノ・ロワイヤル』に始まったダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドも、本作で15年目の5作目でいよいよ完結編。
クレイグの007は全体的にストーリーが密接につながっており、内容もシリアスな部分が多い。なので前作までをキッチリ押さえておくのはまぁ必須。最低限人間関係だけでも見る前ににチェックしておくのをおすすめ。
さて今回は前作『スペクター』の戦いから5年後。引退していたボンドが、人類の存亡さえ脅かす生物兵器への争いに関わっていく展開。

まず冒頭から全編にかけて、過去の007へのオマージュ的な描写がちらほら顔を出すのが上手い演出。これだけでもマニアの人を引き込む魅力があふれている。

敵役のラミ・マレックは『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ役で日本でもお馴染み。単なる悪人ではなく一人の人間として描かれているため、存在感も異質。あと個人的にはクリストフ・ヴァルツの再登場が嬉しかった。

そして終盤ではボンドに娘がいたことが明らかになり、その衝撃を引っ張ったままボンドは、なんとラストで盛大に死んでしまうことになる。長年作られてきた人気シリーズの007で、タブーとされてきたことを次々と詰め込んだようなクライマックス。

全5作のダニエル・クレイグ007は完全に独自の世界を築いており、もはや007の冠を外してもいいんじゃないかと思うくらいの個性を発していた。そしてここにきてジェームズ・ボンドを劇中で死なせて、続編をひとまず断ち切ったのは、まぁ潔いというかやっと終わったかみたいな。ここまで全部見た人なら、色んな思いが交錯し涙なくしては見れないエンディングではなかろうか。

まぁしかし長い!見終わったあと満足感はあるが、もう1度見たいかと言われると結構です(笑)

監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:ダニエル・クレイグ、ラミ・マレック、レア・セドゥ、ラシャーナ・リンチ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、レイフ・ファインズ、ジェフリー・ライト、クリストフ・ヴァルツ
2021年  163分
原題:No Time to Die