ブータン 山の教室 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ブータン 山の教室

90点

ブータン王国の最も僻地、ヒマラヤ山脈の標高4800メートルにある実在の村・ルナナ。ミュージシャンを夢見る若い教師ウゲンが、その人口56人の村に教師として赴任する話。
首都ティンプーからバスで2日、徒歩で6日かけようやく到着した地ルナナは電気もガスもなく劣悪な環境。しかし景色は絶景で子供たちも可愛い。不便な日常に戸惑いながらも、主人公が現地の人々と交流していく展開。
当然ネットなんかないから外部の世界がどうなってるかも知らない。しかし子供たちは夢を語り、勉強への意欲を見せる。なぜこの国が「世界で一番幸せな国」と言われているのか、その一端を本作を見ると伝わってくる気がする。
半ばドキュメントタッチで全体的に平坦、ともすれば眠気が襲ってきそうな映画ではあるけれど、ブータンという国、あるいは広大な大自然が好きな人にはたまらない内容だと思う。
じゃあこの国に住みたいか?と聞かれると最低限テレビとネットと風呂くらいは欲しいかなとは思うが(笑)ただ良くも悪くも現実逃避、映画としての演出も上手く効いており、特にコロナで旅行すら制限されている現在だと心に染み入る作品。個人的には気に入った一本。

監督:パオ・チョニン・ドルジ
出演:シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・ヘンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン
2019年  110分
原題:Lunana: A Yak in the Classroom