ノマドランド | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ノマドランド

60点

今年の各映画賞で軒並み高評価を受け、先日開催された2021年のアカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞を受賞した話題作。
リーマンショックで町がゴーストタウンと化し、家も職も夫も亡くした主人公オバサンのファーンが、キャンピングカーで旅立つ展開。ノマドとは 漂流する高齢労働者たちのことを言う。テーマ自体は辛辣だが、映画全体はそれほど重くない印象。
同じ境遇の人たちと出会い助け合いながら、先々で厳しい現実に直面するも、自らをホームレスではなく「ハウスレス」だと表現するファーン。生きることの厳しさを描きながら、ファーン役のフランシス・マクドーマンドが相変わらず男勝りの風貌そのまんま勇敢な女性を演じており、アカデミー賞主演女優賞も受賞。

さて先週紹介した『サンドラの小さな家』にどこか通じるテーマを個人的には感じた。向こうは離婚で家を失ったわけだけど、同じように周りの力を借りて生きていくさまはこの映画でも見どころのひとつになっている。
ただこちらは、旅を中心とした言わばロードムービーの一種。しかしそのわりに意外と全体的に淡々としている印象。

アメリカを旅する過程で流れるその景観は、綺麗を飛び越してまさに圧巻。けどそこはしょせん映画、実際に自分が旅してるわけではないので終盤いささか冷めた自分がいた。人間関係もそれほど深く切り込んでいるわけではなく、その辺思ったほどの感動は得られなかった。自立する女性にスポットを当てた映画が作品賞を獲るあたり、今どきのポリコレを意識したアカデミー賞らしいなぁという感じ。

しかしまぁぶっちゃけて言うと、近年のアカデミー賞って面白くない映画が取るよね(笑)


監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ、シャーリーン・スワンキー
2021年  108分
原題:Nomadland