ニューヨーク 親切なロシア料理店 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ニューヨーク 親切なロシア料理店

55点
『17歳の肖像』『人生はシネマティック!』などを手掛けたデンマーク出身の女性映画監督ロネ・シェルフィグ作品。
邦題は何やら美味しそうな料理が次々出そうな映画を連想させるが、実は全然違う。原題『The Kindness of Strangers』にある通り、他人同士の出会いと、ギスギスした社会に見え隠れする人間本来の優しさを描いた内容。
主人公は旦那からDVを受け、子供を2人抱えてマンハッタンに逃げてきたクララ。序盤は生きていくことの辛さを中心に進み、徐々に助け合いが見え隠れしていく展開。けど映画はクララだけでなく、登場人物それぞれが悩みを抱えており、わりと色んな要素が絡み合いストーリー的には多様性がある。

ただしロシア料理はほぼ関係なく、店を中心に集まった数人の人間模様を表現した作品。
まぁそれはそれで良い話なんだが、かと言って特徴ある内容でもなく全編通して見ると比較的ありがちなベタな構成。なので美味そうな物目当てに見た俺みたいな人は肩すかし食らうこと間違いなし。タイトル詐欺ですな(笑)
ニューヨークは日本と比べ物にならないほどこういう生活に困った人多いんだろうなぁ。現実社会ではこの映画みたくハッピーエンドにはならないだろうと思うと、明日は我が身と別な意味で泣けてくる。とりあえず、映画ではお目にかかれなかった美味いものでも食べに行きたくなった。

 

監督:ロネ・シェルフィグ
出演:ゾーイ・カザン、アンドレア・ライズボロー、タハール・ラヒム、ビル・ナイ
2019年 115分
原題:The Kindness of Strangers