ジョーカー | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ジョーカー

78点
公開前からなぜか異常な高評価。見る前から「名作に決まってる」みたいな風潮なのがまずウザい(笑)
まぁその辺は無視して冷静に見た場合、ひねくれた俺がみても普通に面白かった。ただ歴史に残る名作、みたいな持ち上げ方はやっぱり誉めすぎかと。
バットマンに登場する悪役でお馴染み「ジョーカー」の誕生を、コミカルな描写を一切なく終始深刻に描いた物語。ただ過去のバットマンシリーズや『ダークナイト』とはつながらず、あくまで単体の作品として作られている模様。
幼い頃の虐待が原因で、笑いが止まらない発作が時折り現れる病気の主人公アーサー。貧しい若者であるはずの彼がなぜ大悪党になれたのか?が個人的に最大の焦点だったけど、なるほどそこはそれなりに上手く表現されていた。
だがジョーカーといえば、ヒース・レジャーがそれこそ命がけで極めたイメージが強い。ホアキンの怪演は確かに鬼気迫る部分があるのは認めるが、もはや誰が演じても二番煎じにしか感じられず、この映画を作る意義がそもそもあったのかという根本的なところまで遡ってしまう。
内容的にはアクションシーンがほぼなかったり、これでもかと言うくらい暗い構成だったり。社会派の一言では片づけられないメッセージもてんこ盛り。しかしそのネガティブなイメージを逆手に取った結果、数多くの信者が生まれたのは製作側してやったりなんだろうけど、10年後20年後にもこの作品が傑作として語り継がれてるかと言ったら微妙。現時点でも過大評価では。
どこからどこまでが妄想なのか明確な線引きがなくそこは議論を巻き起こしているが、最初から最後までお前らの妄想なんだよとジョーカーが高笑いしていそうな怖さは上手い。
 
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイ、ブレット・カレン
2019年  122分
原題:Joker