ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間ー | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間ー

44点

スタジオジブリ出身者が立ち上げたスタジオポノック。その『メアリと魔女の花』に続く劇場アニメ第2作。

全く違った短編を3本集めたオムニバス映画。1本18分程度で全54分とかなり短く実験的な作品。

1本目『カニーニとカニーノ』は小人が主人公。セリフがほぼ無く、お互いの名前を呼び合うのみ。『借りぐらしのアリエッティ』からストーリー性を抜いて水中冒険だけにした印象。絵は綺麗だが話には特に面白い部分はない。

2本目『サムライエッグ』は『かぐや姫の物語』によく似た画が特徴。卵アレルギーの子供が、いつか卵を食べられるように侍みたく立ち向かう、みたいな展開。ただアレルギーと何年も戦ってるわりに、無防備に卵入りアイスを冷凍庫に入れといたり、危機意識なさすぎ。そもそもアレルギーって立ち向かって治るものじゃないのでは。

3本目『透明人間』は一番短編向けのSFミステリー風。しかしそもそも主人公がどういう人物なのか、なぜ透明人間なのかが謎。なので全体像が漠然としすぎている。

 

というわけで3本とも、特に大きなどんでん返しはなく、どちらかと言うとほのぼのと中途半端に終わるタイプ。なので見終わったあとの残念な感じが半端ない。え?これで終わり?みたいな。

こういう手法の短編集は良いアイデアだと思うけど、となると今回はどれもオチが微妙すぎた。オムニバスで良質の題材を揃えるのは意外と難しいってことを証明してくれた作品。なかなかこの手のアニメが作られない理由がわかった(笑)

 

監督:米林宏昌、百瀬義行、 山下明彦
声の出演:木村文乃、鈴木梨央、尾野真千子、坂口健太郎、篠原湊大、オダギリジョー、田中泯
2018年  54分