ダパンプのイッサの、おばあちゃんの話をしよう。
僕が名古屋にいる時、田中さんというおじさんと知り合った。
田中さんは壮絶な人生を歩んできた人で、事業に失敗して、ある時、自殺をしようと心に決めて沖縄へ行った。
田中さんは、万座毛の崖で、ずっと立っていた。
飛ぼうと決めて来たのに、飛べない。やっぱり怖い。
どうしようか、、、
3時間以上、ずっと崖にいた。
すると、おばあちゃんが声をかけてきた。
『死んでもええことないよ。うちにおいで。』
田中さんは救われた気がしたと言う。
数日間、そのおばあちゃんの所に泊めてもらっていたら、イッサのおばあちゃんだと分かった。
その内、イッサも沖縄に帰って来たりして、その妙な同居人、田中さんとイッサは仲良くなった。
ちなみにイッサのおばあちゃんは、田中さんに、人生をやり直せという意味で、200万円を渡したらしい。
そして、ある日、田中さんはイッサと東京へ行った。
歌がうまかった田中さんは、なぜかとんとん拍子にレコードデビューをする。
演歌歌手として。
カラオケへ一緒に行くと、必ずその持ち歌を披露してくれた。
本名の田中で入っている曲だ。下の名前は忘れた。
曲名も忘れたが、たぶん、田中さん以外は、誰もその曲を歌えない。
田中さんはデビュー当時、演歌歌手の今では大物、K西Kおりと付き合っていたらしい。
K西Kおりは、その時がまだ売れ出した時だから、たぶん、『はぐれ草』の時代だ。
読み方は、『ケーザイケーオリ』と読んでくれても良いし、『ケーザイけおり』でもいい。
いっそ、『コーザイかおり』と読んでも構わないし、『坂本冬美』と読んでくれてもいい。
ちょっと何を言ってるか分からなくなった。
そんな田中さんは今、名古屋のラウンジで、雇われ店長をしている。
嵐山あおや