『散髪屋のおっちゃん』 | 優勝

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天然と言われますが、人生楽しく、ちょっとアホでいい♪

昔、週刊SPA!てコラムを連載していましたー☆

とぼけたブログですが、よろしくお願いします♪

僕が小学5年の頃、いつも仲良しのヤスと散髪屋へ行っていた。


それは近くのニキ散髪屋という所だった。ニキのおっちゃんは調子乗りだった。


ある日のこと。



ヤスから散髪が始まった。ヤスも僕も野球少年だったので、丸刈りである。


するとニキのおっちゃんは言う。


『ヤスは巨人ファンやな?ほな、巨人のマークに散髪したろ♫』


ヤスは大の巨人ファンで、巨人の帽子を被っていて、それを見ておっちゃんは言ったのだ。


ヤスは『ほんまー?』


と嬉しそうに言った。どちらかと言うと、僕らはアホな子供だった。


アホ度で言うと、僕はヤスより上だった。


ちなみに宇治田原キューピーズでは、ヤスはファーストで4番あたりを打ち、僕はレフトで8番だった。


しかしアホ度で言うと、僕はダントツで4番バッターだ。


散髪が終わり、ヤスの頭を見ると、丸刈りの上に綺麗なGのマークが出来ている。


どや?とニキのおっちゃんはドヤ顔で言う。


ヤスは、やったー!と喜んでいた。結構なアホである。


次は僕の番で、僕は阪神ファンで、阪神の帽子を被っていたので、阪神マークだ。


話は横道にそれるが、僕は結構な阪神ファンで、おまけにアホが二つ重なるくらいのアホアホだったので、


毎朝、阪神の所の新聞記事を丁寧に切り抜いて、小学校の黒板に貼っていた。


その頃、阪神はサヨナラ試合が多くて、川藤選手や竹之内選手が活躍していた。


最初、先生も、誰や黒板にこんなん貼ったん?!と怒り気味で言っていたが、途中から何も言わなくなった。


アホに言うても仕方ないと思ったのだろう。


先生も阪神ファンだったらしく、機嫌の良い時は、黒板の新聞を見て、


『昨日も川藤でサヨナラか?』


と言ってくれる時もあった。


先生も、新聞を外すのが面倒になったのか、


川藤またもサヨナラ打!
と書いた新聞を貼ったままで算数の授業をしていた。



さて話を戻す。
僕の散髪が終わり頭を見ると、丸刈りにTHのマークが出来ていた。


おっちゃんは、やっぱり調子に乗って、ヤスと僕を並んで立たせた。


『ほら見てみー!これがほんまの阪神巨人戦や!』


アホな小学生2人は、拍手をした。


ヤスは言う。
『おっちゃん、もうこのままでええわ!』


おっちゃんは見せた後、丸刈りにしようと思っていたらしいが、


ヤスがヤケに気に入った様子を見て、そうかぁ?と言ってそのままにしてくれた。


帰り際に、古そうな飴を一つずつくれた。


帰ったあとに問題が起きた。ヤスのおかんが激怒したのだ。メロスより激怒した。


すぐに、調子乗りのおっちゃんに電話が入った。


ヤスのおかん『なんやこの頭!こんな頭で学校行けへんやろ?すぐに直せ!』


僕とヤスは、またニキのおっちゃんの所へ行き、並んで綺麗な丸刈りにしてもらった。


その時のニキのおっちゃんは、いつもアホな事しか言わないのに、無言でバリカンを手にしていた。


帰り際にひとこと。


『もう阪神巨人戦は終わりやな、、、』と寂しそうに言った。




嵐山あおや