今日は、僕の最初で最後の入院の事を書こう。
最後と言ったのは希望だが、僕が入院したのは小学3年の頃だった。
当時僕は、高熱ばかり出し、宇治病院、徳洲会、都倉病院、ユニチカ病院など、夜によく走った。
その結果、ユニチカ病院で扁桃腺の手術をしなくてはならなくなった。
そして、した。
麻酔が切れた時、痛みで飲み物さえも喉を通らなくなった。
毎日、大嫌いな点滴が続いた。点滴をすると、尿が臭く、黄色くなるのがイヤだった。
しかも、一度、失敗されて、もう一度、刺し直された事がある。
それから1週間後、退院の前日の事だ。
看護婦さんから、明日退院なので、今日は点滴はしないからねぇぇと朝に言われた。
にもかかわらず、数時間後、別の看護婦が、
点滴しますよぉぉ、て言いながら、作り笑顔でやって来た。
僕『今日は点滴しないって言われたで!』
看護婦『あら、じゃあ最後だし、念のため、やっときましょうねぇぇ。』
全然、日本語が通じてない。
僕『さっきの看護婦さんに聞いてみて!絶対、言ったし!』
看護婦『もう聞いてきたのよぉぉ。』
ずっとここにいるのにぃ?
そして僕は、その場から逃走した。
洗濯物が干してある屋上へ逃げ込み、レベッカのムーンのように身を潜めた。
看護婦さんが数人、行ったり来たりしてアホな僕を探している。
僕はしっかり息をひそめ、屁も我慢して、尿も我慢した。
何時間そうしていただろう。
おとんとおかんがやって来た。日本昔話のように僕の名前を呼んでいる。
僕は父と母の呼ぶ声を聞き、たまらなくなり、泣きながら出て行った。
僕『おかん、、、聞いて聞いて!今日は献血しやんでもええて看護婦さん言わはってん!
せやのに、ブサイクな看護婦が来て、ほな、しましょうねぇぇ、て変な声で献血持ってくるねん!』
おかん『それ点滴やろ!』
僕『うん、その点滴は今日、もうしたくないねん!おしっこ黄色くなるもん!』
おかん『それが点滴や!もう、みんなに迷惑かけて!はよしー!』
僕『いややー!いややー!』
聞き分けのない僕は、屋上のポールにしがみついた。おかんが離そうとする。
僕はポールを持ち、クルンと回った。おかんも回る。まるで、ポールダンサー親子だ。
こんな映画知りません?
今月末公開!主演、唐沢寿明!
『屋上のポールダンサー!』
さて、それを見ていた婦長さんのような人が、僕とおかんがあまりに踊るものだから、
もう今日は点滴は中止にします、と言ってくれた。
ああ、良かった。
僕はそれ以来、ポールを見たら、しがみついて踊りたくなる。
嵐山あおや
皆さん、いつもありがとう♫
皆さんにステキな夏を願う☆