数社に原稿を送りはしたが、書いてみますか?と、スパから言われて、舞い上がった。
僕は当時、最低の生活をしていたが、その手紙一通を読んだ瞬間、一挙に世界が輝きだした。
確か原稿料は、原稿用紙1枚が1万か2万だった。
僕は小さな頃から、何かを書くのが好きで、小学1年の時には、もう変な歌を作っていた。
曲は、
『君は食いしん坊』という題名で、友達の前で披露したりした。
仲の良い同級生ヤスは、未だにその歌を覚えてくれている。
中学3年の文化祭では、脚本を書いて、皆を巻き込んで劇を演じた。
あの時のクラスメートに謝りたい。自分勝手で本当にごめんなさい。
さて、本題に移ろう。
僕がアホな小学4年の頃、おとんは焼きそばUFOが好きだった。
晩ごはんに食べるのではなく、夜食におとんはUFOを食べていた。
一つ言っておくと、おとんの近所でのアダ名は、『仏さん』と言われていた。
とても温厚だったからだ。
さて、夜食のUFOは、いつもおかんが作っていたが、その時はおかんが忙しくしていたので、おとんが作っていた。
すると台所から、怒ったおとんの声が聞こえて来た!
『こんなもんいらんわ!』
僕は驚いて台所に行くと、UFOの麺がこぼれかけていて、おとんがUFOを叩きつけた後だった。
おとんのアダ名は仏さん。
おとんはUFOを作った事がなく、湯切り口の反対を開けなくてはいけないのに、
湯切り口から開けてお湯やカヤクを入れたらしく、湯切り口から雪崩のように麺が飛び出ていた。
おとんに、『どうしたん?』と聞きながら状況を悟った小学生の僕は、
『あーあ!』と言いながら、麺を入れ直して、お湯を上手に切ってソースを入れ、
もう座ってプンプンしていたおとんの前にUFOを黙って置いた。
するとおとん、3分前に、こんなもんいらんわ、と叩きつけたUFOを、
お礼も言わず美味しそうに食べ出した。
僕は皮肉に、
『こんなもんいらんわ!て言ったとこやのに食べてるやん。』
て言おうしたが、いくらアホな僕でも、その言葉は仏さんにはふさわしくないと思い飲み込んだ。
そんな僕の気持ちをよそに、おとんはホフホフ言いながら、UFOの麺を頬張っていた。
嵐山あおや
