最近、夜中に目覚めた時は、YouTubeを見るようにしている。
そしたらまた眠れるのだが、YouTubeは50分たったら一度、止まる設定にしているから、
止まった時になぜか起きてしまう。昔、父親がテレビを観て寝てしまい、おかんが消した時に、
父は寝てるくせに、
『観てるねん!』
と言っていた妙な現象と似ている。
今、僕はYouTubeでランチの女王を見返している。好きだったなぁ、このドラマ。
竹内結子や江口洋介、妻夫木聡、山田孝之、堤真一などが出演しているのだが、みんな知ってる?
キッチンマカロニという店が舞台で、僕はこの店が日本橋人形町に本当にあると思い、日本橋をウロウロした事のある変な奴だった。
芸能界への憧れが強くて、ロケ地をよく巡ったりもした。
このドラマを知ってくれてるあなた、僕と同じ、まあまあミドルな方ですね。
さて、話は変わるが、僕が小学5年の頃、父親と親戚のおっちゃんと旅行に出かけた。
場所は石川県の七尾だ。七尾からフェリーで能登島まで渡ったりした記憶がある。
僕たちはホテルに泊まり、小学生の僕は嬉しすぎて、ベッドでピョンピョン飛び跳ねていた。
帰る日の朝のこと。
僕は起きてすぐ、飽き足らずまた、ベッドでピョンピョン跳んでいた。
跳んだ拍子に、勢い余って窓際にあるカーテンに猿のように、しがみついた。
すると、カーテンごと僕は床に落ちた。カーテンがむしり取れたのだ。
おとんと親戚のおっちゃんは焦って、カーテンを直しだした。
汗をかいてもカーテンは直らず、おとんと親戚のおっちゃんの会議が始まった。
小心者のおとんは言う。
おとん『どうしよ?フロントに言おうか。』
おっちゃん『これは怒られるぞ。カーテンむしり取れたるもん!』
おとん『弁償かな?せやからお前はガサガサするな言うたやろ!』
矛先が僕に向いて来た。壊したのは僕だから仕方ない。
おっちゃん『これは高そうなカーテンやぞ。』
おとん『とりあえず帰ろか?』
僕『えっ?朝ご飯は?』
おっちゃん『お前はだまっとけ!』
予約している朝ご飯も、食べずに帰ろうとしているらしい。
おとんたちは結局、カーテンを付いてるように見せかけ、朝ご飯を食べて、夜逃げのようにサッとホテルを出た。
何を食べたか覚えていない。
帰りの車の中、旅行に来ているのに、重苦しい空気が漂ってたいた。
みんなの頭の中には、壊れたカーテンでいっぱいだ。思い出がいっぱいではない。
壊れたカーテンでいっぱいだ。
そんな時、おもむろにおっちゃんが言い出した。
おっちゃん『あかん!予約してる名前、俺の名前や!』
おとん『それは、どういうこと?!』
ちなみに親戚のおっちゃんとは、父の兄だ。
おっちゃん『アホ!俺のとこに電話かかってくるやろ?』
おとん『ど、どうしよ?』
結局、福井県あたりで車を止め、おっちゃんはホテルに電話をし、カーテンの事を謝った。
ホテルは許してくれたらしく、ようやく、おっちゃんたちに笑顔が戻った。
おっちゃん『やっぱり正直に言うといいよな!』
おとん『そやそや。正直者は得をするや。』
何も得はしていない。
僕はその時、幼心に思った。
めっちゃカーテン付いてるみたいに見せかけてオドオドしてたやん!て。
でもそれを言えば殴られそうだったので、僕は顔をひきつらせて、楽しそうにちょっと笑った。
嵐山あおや