たまはオスだった。
両親は猫を飼うのに反対していたので、ある日、僕に内緒で、その猫を約2キロ離れた牧場に捨てに行った。
その牧場は、野良猫の会議場のような所で、猫たちで賑わっている場所だ。
とはいえ、あおやは激怒した。
そして、牧場へとあおやは走った。
何度探しても、たまは居なかった。僕はその周辺も探した。
向かいのホーム、路地裏の窓、そんなとこにいるはずもないのに。
そして2日後、僕は家からも牧場からも、また2キロ離れた位置にある維孝館中学校の前の家、
浦谷という友達の所で、バカ話をして遊んでいた。
猫に戻ろう。
その浦谷の家の2階で遊んでいる時、浦谷が1階から大声をあげた。
『猫入ってきよったー!』
僕は階段を降りようとすると、階段の中腹まで上がって来る猫がいた。
たまだった!
僕はすぐに、たまを抱きよせた。
すぐにたまを抱いて、僕は帰途についた。その帰り道、なぜか僕は鼻歌を歌っていた。
本気で忘れるくらいなら~泣けるほど~愛したりしない~牧場に取られるくらいなら~たまを抱いて~たまを壊した~い~♪
たまはそれを聴いて、僕の腕の中でニャ~♪と泣いた。
そして僕も泣いた。
嵐山あおや
両親は2度と、たまを捨てに行かなくなった。




