朝がくる。昨日のことが夢のよう。
フーガはもう冷たくなっていた。
いつも行っている朝の散歩にいけない。
朝から、フーガを抱いて涙が出てしまう。
散歩行くよ。起きろよ。
やっぱ目を覚まさない。寝てるみたいで、生き返るんじゃないか?
って希望を持ってしまう。このまま、形ある姿でいると俺はおかしくなっちゃう。1日中泣いてしまう。
フーガを悲しませちゃう。
葬儀屋に電話をして、15時に火葬することになった。
泊まってくれた友達も朝から泣いている。
友達が、フーガの散歩行こう!かといい、二人して泣きながら散歩コースを歩く。
変な人と思われようがどうでもいい・・・。
俺が、部屋の中で移動するたびに、俺の見える場所について来て横になるフーガ。
もう、ついてこないんだね。でも、そこにいるように思える。
なにをしていても、フーガを思い出す。
バナナを食べていると横に来て座って嬉しそうに俺を見ているフーガ。
冷凍庫を開けると氷ちょうだーいってすっ飛んでくるフーガ。
俺が着替え始めるとどこかに行くのって喜んでソワソワしているフーガ。
ガスをつけるボタンの音で粉ミルクをもらえると思ってのそーっと台所にくるフーガ。
さつまいもを茹でると散歩中でも早く帰ろうとするフーガ。
携帯が鳴ると寝ててもすぐに起きて俺の顔をみてソワソワしているフーガ。
遊ぶことに夢中で壁に激突して、痛くて大声で泣き叫ぶフーガ。
いっしょに住んだばっかで、便器の水を飲むフーガ。
自動ドアが好きで、どこのドアでも座って開くのを待っているフーガ。
ペットショップでおもちゃを買ってもらえると思って、夜中にでもドアの前で座って中を覗くフーガ。
階段を雑に、適当に足をぶつけながら降りるフーガ。
水風船を全部食べて、翌日カラフルなうんちを出すフーガ。
ヤギに攻撃されて、近づかなくなるフーガ。
くさい屁をこいて、空気清浄器のランプを赤くさせるフーガ。
網戸に衝突するフーガ。
ペットショップから帰りたくなくて、ダダをこねて自動ドアに挟まれるフーガ。
車の中で柿を急に食いだしたフーガ。
家の中からドアを開けようとして、鍵を閉め、俺を閉め出したフーガ。
まだまだ、たくさんある。たくさんの思い出。
でも、もうその顔を見ることはできないんだね。
フーガの面倒をいっしょに見てくれた友達も、同じことを思っているだろう。
ずっと忘れない。忘れたくても忘れられない。
我が家からお別れの時が来る。母親もどうしても見送りたいと、友達と3人で火葬場へ。
つらい。
最後のお別れ。
フーガを抱きながら、また泣いてしまう。色々言いたいことがあったから、全て伝えた。
火葬が始まり骨になったフーガ。みんなで骨を骨壺にうつす。
もう、骨になっちゃたから目覚めるんじゃないかという希望は多少和らいだ。
家に帰り、大好きなものを全部フーガの仏壇に供えた。
もう、お腹痛くないからたくさん食べて、たくさん遊んでね。しばらくは、俺の側にいてね。
フーガとの出会いは、俺がいた警察犬の訓練所だった。
フーガは俺の担当犬。最初はやんちゃすぎて大変だったけど、手間がかかる分可愛くてしょうがなかった。
訓練を終えて、自衛隊におくり出したけど、下痢が続いて訓練所に帰ってきたね。
下痢もあるけど、性格も元気すぎてお客さんにはフーガを紹介されなかったね。
訓練所にいてもつまらないだろうから、俺がアパートを探して大型犬と住めるアパートを見つけて同棲。
一緒に住んで1年5ヶ月。短いようですごい長く楽しい日々だった。
約500日間しか、一緒に住んでないのに写真現像しにいったら2000枚近くの写真があったよ。
短くて、濃い生活本当に楽しかった。
また生まれ変わっても病気だったら、俺が見てやるからいつでもおいでね。
しばらくは、抜け殻になって思い出に浸りながら、家に居れずにフーガのリードを身に着けてさまようだろうね。だから、いっしょにフラフラしてようね。
お疲れ様、そして本当にありがとうフーガ。
