朝、6時前に病院に行くため準備をしてフーガに外でおしっこをさせようと呼ぶが自分で立ち上がれない。
何回呼んでも、顔だけこっちをむいて立ち上がることができない。
抱っこをして外に連れ出すと、自分でゆっくり歩いておしっこをした。
「フーガ!ハウス!」というと自分で車の中にある犬舎に喜んで入るのに、自分では入れない。フーガを持ち上げて犬舎に入れてあげる。
今日はフーガの面倒を色々と見てくれた友達もうちに泊まってくれて、何があるか分からないので、いっしょに来てくれた。
東大に予約していた9時前に到着する。
待合室まではゆっくりだけど、自分の足で歩いて行けたが、体重を測ろうと移動しようとしても、立ち上がれない。
先生がフーガのもとにきた。事情を説明して、立ち上がれないフーガは台車で運ばれていく。
しばらくして、先生に呼ばれ話をした。
とりあえず今は、かなり衰弱しているので、点滴をうちながらできる限りの検査をする、今日は入院をして、体調がもどったら明日退院できます。しかし、なにがあるか分からないので、いつでも連絡がとれる状態にしておいてくださいと、言われた。
最後、フーガに会わせてくださいとお願いをして、弱々しいフーガを撫でながら、頑張るんだよ、すぐ迎えに来るからね!と言い残し東大の外に出る。
なにがあるか分からないと言われて、家に帰ることもできず、なにかあったらすぐ行けるように、友達と東大に近いビジネスホテルを予約してホテルへと向かう。不安な気持ちでいっぱいだけど待つしかない、きっと大丈夫だろうと思い部屋で一時間くらい座っていた。
すると、病院から電話がかかってくる。すごい嫌な予感。
レントゲンをとった結果、胃と腸の中でガスや食べ物がたまり、腸に穴が開いている可能性がある。このままにしておくと、数日苦しんで亡くなってしまう。リスクが高い手術ですがどうしますか?
と、聞かれた。
助かる可能性があるなら、手術を選択する他なかった。
手術をお願いすると、フーガちゃんに手術の前に会うことができるので会いに来てくださいと言われ、友達とホテルの近くにあった神社にフーガの手術が成功するように祈り、ホテルをあとにして東大へと向かう。
東大に着くと外科と内科の先生に呼ばれ、手術の内容を聞く。
とりあえず、腹を開けてみないとどうなってるか分からない、肝臓の数値、アルブミンの数値もかなり悪いため、麻酔に耐えられるか分からないし、麻酔から覚めるかも微妙です。かなりリスクが高い手術ですが、承諾していただけますか?
フーガなら大丈夫!数日、体の激痛を我慢させて死なせるなんてできるわけがなく、手術を選択し承諾書にサインをした。
話が終わり、診察室をでてフーガに会えるということなので待っていると、フーガが台車で運ばれてくる。ぐったりしているフーガに、絶対うまくいくから大丈夫だよ。また、ボールで遊ぼうね。また、温泉旅行に行こうね!と頭をたくさん撫でてあげる。
先生に、手術の準備があるのでフーガちゃんを連れて行きますと言われフーガを連れてエレベーターへ。
フーガは顔を上げて、扉が閉まるまで俺たちを見ててくれた。その表情は、すごい不安そうな顔で、どこに行くんだろうと、とても脳裏に焼き付く不安げな顔だった。
俺と友達は、フーガの手術が終わるまで、車の中で待っていることに。
手術は約3時間の予定。なにかあったら、早めに連絡をすると言われ車に戻る。
もちろん、早めの連絡がないように祈り、友達と不安を紛らわす。
絶対大丈夫!!退院したら、フーガ連れてどこにいこうか!など、手術が成功することを前提とした話をしていた。しかし、不安。タバコばっかすっていた。
すると、タバコを吸っているときに電話が・・・・。まだ、2時間15分くらいしかたっていない。友達と、電話のなる音に動揺してしまう。
電話にでると、今腸の手術が終わるとこで、呼吸と脳が止まってしまった、まだ心臓が動いているので、このまま急いで手術を終わりにすると言われた。・・はい、わかりましたとしか言うことができない。
頼む!フーガ頑張れ!!と祈る。
電話を切ってさらに5分後くらいに電話がくる。
心臓も止まってしまったので急いで来てくださいと言われ、階段を走って上る。
手術室に連れて行かれた。
絶望的な光景。
心臓マッサージをされている。
先生にが、まだ心臓が動く可能性があるので、このまま心臓マッサージを続けさせてもらいます。と言われ、手を合わせながらフーガがこっちに戻ってくるように何度も心の中で呼ぶ。
しかし、フーガは戻ってこなかった。20分くらい心臓マッサージを続けただろうか。先生が自分のもとに来て、もう戻りません、これ以上続けてもフーガちゃんが可哀そうなので、やめさせてもらってもよろしいですか?
うなずく。
とりあえず、フーガを綺麗に帰れるように準備するといわれ、待合室で待つ。
15分くらいして呼ばれた。
タオルにくるまれてるフーガ。タオルをめくってフーガの顔を見る。ため込んできたものが爆発した。
フーガを抱きしめて泣き崩れた。フーガ。フーガ。って何回も呼ぶ。
こんな人前で大声でなくことなんて、これまでの人生の中でなかった。
まだ、暖かい。生き返りそう。
よく頑張ったな、フーガ。
よし、うちに帰ろう。
フーガを車に乗せて帰る準備ができた。
友達とフーガを車に乗せて、俺は先生達に、もし次こういう病気を持った犬を飼った時は絶対に助けてあげてくださいねって。
ホテルに泊まる予定だったので荷物がホテルに置きっぱなし。荷物を取りに行って、宿泊キャンセルして。帰路につく。
帰りの車で、何回もこのまま死にたいと思った。俺があの時ああしてれば助かったのかな、俺のせいでフーガが死んじゃったんだ。俺がいっしょにいなきゃフーガが道に迷っちゃう。後悔だけがたくさん浮かんでくる。
車の中で、心臓マッサージをする。大声で名前を叫ぶ。悔しすぎる。
実家の家族にまだあたたかいフーガとお別れのあいさつをした。泣く母。黙る親父。フーガに顔をくっつけて離れない兄貴。
たくさん遊んでもらったり、おもちゃたくさん買ってもらったもんね。最後に会えてよかったね。
兄貴が俺に、やれることはやってあげたんだからフーガは幸せだったよ。後悔してないだろ?
後悔だらけだよ。と言い返した。
そして自分のアパートに帰る。フーガを抱きかかえ、フーガお気に入りにソファーへ。
現実を受けいれられない。
目を開けそう。
何度も名前を呼んだ。大好きなボールを近くに持っていったり、名前を呼んだり、心臓マッサージもした。
奇跡はおこらない。ごめんね、フーガ。ゆっくりおやすみ。やっと痛みから解放されたね。でも、一人にしないで。明日からどうすればいいんだよ。お前がいない生活なんてつまらない。生きてる意味もない。
いつからか、犬のしつけの仕事を成功させるという目標が、フーガの病気を治して幸せにさせるという目標に変わっていた。
俺は目標を失ってしまった。
その後も、友達と泣き続け、長い1日が終わる。
おやすみ、フーガ。
