うちの娘が、一ヶ月検診でした。


それに際し、最近赤ちゃんの調子が悪く、それも聞きに行くことにした。


それは「下痢」である。

これまで粒マスタードのようだったうんちが、

ほとんど黄色い水のようなうんちになり、

それがオムツを変えている最中でも、肛門からぶくぶく泡を吹きながら出てしまう。

新しいオムツに代えようと、テープを巻こうとすると、ぷりぷり

マタ新しいのを尻の下に敷いて、さて、履き替えようか、とするとぷりぷり

ぷりぷり、ぷりぷり、ぷりぷりぷりぷり。

一回オムツを変えている間に、きちんとそうちゃくするまえに、5つは汚れてだめになる。

そして、ずっとオムツを替え続けることになる。


当然、ぷりぷりする前にオムツをはかせるのが間に合っても、

できたー、と抱っこしたとたん、ぶりぷりぷりぶりぷり、

と音がし、赤ちゃんの鳴き声がまた響き渡る。


親も大変だが、赤ちゃんもつらい。

ぷりぷりするたびに、尻をウェットティッシュで拭くのだが、

トントン、とこすらずに拭いているにもかかわらず、

回数が多いため、真っ赤に腫れあがってしまっている。


そこで、Webで色々調べて対策した

・お尻の腫れ

→ふき取り:ウェットティッシュでは刺激が強いため、100円ショップで売っているミニボトルのスプレーを購入。ぬるま湯をお尻に拭きつけて汚れは落とし、軽くガーゼをあてて乾かす程度にする
→腫れ対策:ベビーパウダーはどう扱っても粉が飛ぶため、呼吸器にもよくない。しかし、うっすらと塗るくらいなら問題ないだろう、ということで、ガーゼに薄く取り、とんとんと軽く触れるように塗布する

・下痢

→毛布を一枚増やす


実際に、お尻の痛みが緩和されたのか、寝かせてから爆ぜるような泣き声をあげることはなくなった。

さて、一ヶ月検診では、これらの症状をどう説明されるだろうか……。


そして、一ヶ月検診後

の、対策


そこで、Webで色々調べて対策した

・お尻の腫れ

→ふき取り:ミニボトルのスプレーでぬるま湯塗布→軽くガーゼをあてて乾かす程度で正解。

そもそも、スプレーするだけで固形の汚れなど、勝手に流れ落ちる。交換対象のオムツを敷いたまま、吹きつけると、そのままオムツごと捨てられて便利。
→腫れ対策:ベビーパウダーはダメ、とのこと。皮膚呼吸の妨げにもなり、汗が正常に出なくなったりするという。軟膏を処方していただいた。

・下痢

→そもそも、新生児には下痢がないそうな。風邪もひかないという。母親の免疫が残っているからなのか。数ヶ月たつと、むしろ免疫が落ち、風邪などもかかることがある。下痢はまれにある症状だから気にしなくてもいい、と言われた

・爆泣き

→寒いとやはり泣きやすいとのこと。

そして、意外な真実がここに隠れていた……


……一ヶ月検診の結果、がきんちょの体重が、500グラムしか増えていなかったのである。

本来、1000グラムは増えるところが、500グラム。ぎゃくたい?ねぐれくと?

否、いちばん衝撃を受けていたのは嫁であった。

「ちゃんとお乳はあげてましたし、だいたい30分飲んだ後は寝てましたし」

「あー、出てると勘違いしたんだね。吸い付かれて寝ていたんじゃないかな」

かかかか、かんちがい!?

あんなに夜中に起きたり、食事を急いで食べ終えたり、お乳が出るように必死にもんでからあげたり、

そんなこんなして吸わせていた膨大な時間が、勘違い!!


医者に

「赤ちゃんがかわいそうだよー」

とまで言われてしまった。


結論としてはこれまで寝る前にだけ、120ccあげていたMILKを、一日3回80ccずつあげることになった。

ちなみに、以下の医者にすすめられたMILK。

甘くなく、母乳と成分がにているとのこと。

あと、同じメーカーの哺乳瓶のちくびが、おっぱいを吸うときのように噛まないと出ないように出来ており、
赤ちゃんの吸う力を鍛えるのにもいい、とのことでそれも利用することにした。

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これを、

母乳の後に、たりないぶん、あげることにした。


嫁いわく

「MILKにだけたよんない!! おちち、なんとしてもだす!! あんなにがんばったのにぃー、赤ちゃんに生まれて間もないのに、ひもじい思いさせたぁーーー!! んー……せつない!!」


そして、その日のお昼からたっぷり飲ませるようになったら、

日中や夜も、わりとぐっすり寝るようになり、

うんちもなぜか、げりげりうんちではなくなり、

本来マスタードだったものが、むしろやや濃くなったような栗きんとんのような粘りのうんちで、

順調にひり出されるようになりましたとさ♪








ゆめ


漢字で表すと


「夢」


でも、二度繰り返すと


ゆめゆめ


漢字で表すと


「努々」



夢。


きちんと、努力し続ければかなう気がする。


15:00になると、嫁の陣痛は一層激しさをました。

「うーーーーーーーーーーーーーーー!!」

うなっている間、ずっとじぶんの腰をさする。

もちろん、テニスボールを肛門へ押し付けるように座ったままで。


俺も腰をさする。

「ちがうの!腰を今度は押して!!」

後ろから腰を押す。

反応は無い。

腰よりも下の尻へと押すところを下げていく。

「あ! そこ!!」

そこ、と言われたとこを思い切り両手で押してみる。

「E-----------------!!」

あ、そういうこと、

と、なんとなく分かってきた。


どうやら、子供が降りてくるにしたがい、腰の骨が開くので、

お尻にテニスボールを押し付けるのと同様、

開こうとする骨を逆に閉める感じで押してあげると気持ちいいようだ。

そういえば、妊娠中の腰の痛みに、トコチャンベルトという腰を締めるコルセットのようなものを装着すると、

楽になることと同じ原理か。


と、いうことは、これから時間がたつにつれ、

押さえるところを少しずつガキンチョの降りていくのにしたがって下げていけばいいということだ。


それからは、背中を押したり、腰骨を両脇から締め付けたりと、

押さえる場所は随時変わりながらも、痛みに対応しながら出来るようになっていった。


かといって、当然嫁の陣痛がおさまるわけではなく、

ほぼ途切れることなく「うーーーーー」とうなっている。

と、16:00過ぎたあたりだろうか。唐突に、その声がやんだ。


・・・・・・


嫁はベッドに座ったまま、天井を目をつぶり口を開いたまま失神していた。

鼻に手をやると、呼吸はしているようす。

こっそり脈もみる。

うん、大丈夫。

ということで、少し痛みをわすれて寝られるようなので、看護士に状況説明し大丈夫らしいのを確認したうえで、

放置する。

事前に買っておいた、この週前後で読み忘れていたヤンマガ、スピリッツ、スペリオールを順に読んでいく。


びくり、と嫁が痙攣したかと思うと、目をつぶったまま眉間に次第にしわが寄り、

「いぃぃぃーーーーーーたーーーーーーーーぃ…」

と置きだした。

暗黙の了解で雑誌を足元のカバンへ、しゅっ、と忍ばせて身を乗り出し腰を押す。

しばらくし、また、失神したので、

椅子に座り、雑誌を読む。

アフロ田中、おもしろい。

宇宙兄弟、おもしろい。

なにわ友あれ、おもしろい。

あ、おきた。


17:00を過ぎた頃、夕食のお時間、ということで、配膳されてきた。

今晩のメニューは、

ごはん、味噌汁、サイコロステーキ、ナスとチーズのトマトグラタン、漬物、フルーツ……

さすが飯がうまいと評判の産婦人科病院。

たしかにうまそう。サイコロステーキは上に大根おろしが乗っており、これまた食欲をそそる。

「うまそうだね!ね!」

と、嫁をキラキラした目で振り返ってみると、

うつむき顔を完全に下りた髪で隠したまま、3秒くらい間が空いた後

「……食べれない……たべていいよ」

いや、たべれまてん。

そんな状態のそんな間が作られた後に

「そうだよね!いただきます」

なんて食べた日には、その後いつまで言われ続けるか分かったもんじゃない。

18:00過ぎた頃、看護士が様子を見に来てくれ、奥さんが食べれないようならだんなさん食べて、

と言ってくれたが、時既に遅し。君子危うきに近寄らず。

晩飯、食べたいが、ここは待機することが賢明という選択をした後だった。


俺の空気を察したのか「いや、ほんとに食べて、もったいないから」といってくれるが、

その言葉の前後はもちろん「いたいぃぃぃぃ」「ひぃぃぃたぁいぃぃぃぃぃぃ」という悲痛な叫び声。

いや、ほんとにいいから、とあきらめた。


しかし、チャンスは突然やってきた。

19:00頃、いよいよやはり腹へった、目の前の飯を食べたいなぁ、と正直思い始めた頃、

延々とつづいていた、嫁の陣痛が突然鎮まってきた。

落ち着きをとりもどした嫁は

「今のうちに、食べていいよ、私も落ち着いたし。さすがに食事はのどを通らないけど、今のうちに野菜ジュースだけ飲んでおこうかな。せっかくの食事、食べて、食べて」

嫁に野菜ジュースを渡すとおいしそうに飲み干し、ジャスミン茶で軽くゆすいで、一息ついたようだ。

ベッドでテニスボールを肛門の下に敷いたまま、顔全体に汗をにじませつつ、

全身脱力しきって、生気をうしなってすわっていた。


では、お言葉に甘えて……

と椅子から腰をあげ食膳に向かって右足を少し出した瞬間、

こつん

と、ベッドの足に当たる俺のつま先、

「ひぃぃぃぃぃぃ!! きぃぃぃぃったぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

と生気を取り戻すどころか何かが乗り移ったように叫びだす嫁。

「今のしょうげきっっっしょうげきぃぃぃぃぃーーーーーでぇぇぇぇえぇぇぇーー……」

がしがしがしがしがしがしっ!!

これまでにないくらい自らの腰を強く荒くこする嫁。

「す、すまん」

と言うのが俺は精一杯で、立ち上がった体の向きをそのまま嫁へと向け、腰を強く押し始めた。


間も無く看護士さんが入ってくるやいなや、

「こちら、もう下げてしまいますね」

と手早く配膳を持ち上げる姿を見た俺は、

ひぃひぃと激しくうめく嫁の横にいてその腰を力強く押しながら、

「あ、お願いします」

と、死んだ魚のような目でかすれた声を出すのが、精一杯だった。




【つづく】