出産してから、周囲がお祝いをくれる。


じぶんが出産した側に回らないと、

あまり男性は出す習慣がないと思うが、

出産した側になると、なんとなく出さないと、という気分になる。

女性はなぜだか、友人で生まれた人がいると、

もともと自然と出す傾向にある気がする。


自然と、なわけないか。

普段から男性よりも通例や常識を理解し、行動に反映している生き物なのだろう。


出す側になって思ったのは、

「何をあげたらいいか、わからない」ということ。

出す側のときに考えたのは、


・よだれかけ(スタイ)

・タオル

・子供服(ちょっといいやつ)

・マタニティ用のギフトブック

・赤ちゃん写真たて(時計のようになっており、12ヶ月1枚ずつ顔写真を入れられるようになっている)

くらいだった。


★よだれかけ、はいくつあっても足りなくなる、とどこかで聞いたから印象に残っている。

タオルも同じような理由で聞いたことがある。どんどん汚れて洗濯に出してしまうため、いくつあっても足りないとい理由。

★子供服は新生児、乳幼児はすぐに大きくなるため、いいものを買ってもすぐに着られなくなる。

一方で、かわいい、かっこいい服を子供には着せて遊びたい願望も親にはアル。

だからちょっといい服をあげると、親の負担にもならずによい、という理由。

ただ、デザインの好き嫌いはあげてにゆだねられるが、もらいものに文句言うな、という理由。

★でも、それらをある程度カバーできるのが、マタニティ用のギフトブックだ。

内容はしばられるし、程度もそれなりのものだろうが、親にほしいものを選んでもらえるから安心。

★赤ちゃん写真たては、値段もややするため、自分ではあまり買わないだろう、という予測。


そして、実際に以下のものをもらった


・金(1万円)x5:

近所のおじさん、親族

・いい服x4:

夫/嫁友人

・バスローブ:

嫁友人

・マフラー:

夫友人

・おくるみ(左記すべて手作り):

嫁祖母

・おくるみ、服(左記すべて手作り):

夫母親

・いい毛布:

夫同僚

・木製いい積み木:

夫友人の主婦

・子供の顔が作れるパズル:

嫁兄弟

・子供のおもちゃx3:

嫁兄弟/夫友人/嫁友人

・いっしょにねんね:

嫁友人

・ゆりかご:

近所のおばさん

・いい靴:

嫁友人の主婦

・ベビーマグ:

嫁友人の主婦

・ベビーランチセット:

嫁友人の主婦

・いいお茶:

夫友人

・お歳暮と書かれたお菓子:

夫友人

・ベビーシート、ベビーカー、ベビーバス(左記すべて中古):

夫上司

・哺乳瓶(未使用)、絵本(中古):

夫上司

・ベビーシート、だっこ紐、ベビーカー、バウンサー、赤ちゃんの言いたいことがわかる本(左記すべて中古):

夫上司

・だっこ紐、靴下、服、洗浄綿などなど色々:

夫友人主婦


ただでさえ狭いワンルームが大変なことになった。


★まず、金は助かる。あって困るものでナシ、なくては困るものである。

いずれお祝い返しで全体にバックするため、非常に助かる。


★服はこれもやはり助かる。貧民の自分たちで買うとなると、なんだかんだ、まずはとりかえるための量を選ぶ。

おしゃれさせたくてもできない。

そんなところで、友人から色々な服。違う人間が選ぶのでまずセンスがかぶらない。ありがたい。

外出時には、ムダにおしゃれながきのできあがり。ありがたい。

特に、冬にお宮参りなど外出しなくてはならないので、マフラーや毛布などでいいものをもらえたのは、非常に助かる。これも、よだれですぐに汚されてしまうことを考えると、なかなかいいものを買いづらい。


★手作りのおくるみなど作ってもらえる場合も助かる。うちは、退院前と退院後でそれぞれ、両家の親族が気合を入れて作ってくれた。こういうのはえてして、得意な人が気合を入れて作るので、いいものができる。

恋愛のときのれいでぃーからの青春の証手作りマフラーはなかなかそうはいかないが、こういうときの両親祖父母の熟練した技術は半端ない。

退院時の正装やお宮参りなど、随時使い分けさせてもらい、それぞれ写真をばしゃばしゃ撮れば、作った側もハッピー、こちらも正装が複数用意できたのと同じでおしゃれさせられてハッピーだ。

ただ、やはり気合が目に見えて表れているため、恐縮する。ありがたい。


★おもちゃ、もたくさんいただいた。

年齢の制限などもあるし、性別や育児方針にもかかわるため、買う側は使う側を考えたりこだわると、かなり大変そうだ。

もらってみて感じた、間違いないものはぬいぐるみ兼用になるサイコロや、音のなる知育を兼ねた人形。

コットン製であったり、子供を気遣ったやや値のはるものは実用的でもあり、飾っておいてもかわいい。

目を引いたのは、積み木。俺は子供には、基本的にブロックばかりを与えようと思っているため、こうしたものは非常にありがたい。ブロック、だとパーツを小さくしないと長期間遊べる汎用性のあるものにならない。

そのため、赤ちゃんには口に入れてしまう危険などがつくため、俺の考えているブロックは乳幼児期にはむかない。

積み木はかなり大きいため、それでも注意は必要だろうが安易に飲み込んだり出来なくなっている。

しかも舐めても安全に作られた積み木らしい。

「いっしょにねんね」はぬいぐるみ型のアイテムで、赤ちゃんが寝付けないときに、音楽を流して一緒に寝てくれる、というものらしい。

が、わがやのガキンチョのシャウトは見事にそれらを打ち消すメタルな感じなので、効果を発揮できなかった。

今ではかわいいオブジェ。

いっしょにねんね ベビーミニー
タカラトミー

ロープライス ¥4,070
or 新品 ¥4,070


★友人から普通に送ってきたお茶、も何気にたすかる。

子供がしばらくすると、主婦友などが家に来る可能性がアル。少しいいお茶があると、見得がはれる。

貧民は、通常の生活で精一杯です。精一杯生きているのです。

こういうのがありがたい。

お歳暮、と書かれた菓子詰めをもらった。ここまで来るともうよく分からない。デパートからの一括配送ですか。


★中古に関しては本当にいろいろだ。出産祝いがてらに、いただけないか聞いてみよう。

周囲の方から中古のベビーカーやベビーシートを沢山いただいた。

これは、お祝い、といえないかもしれないが、すでに育児されている方で、

これから周りに出産準備の人がいるようなら、是非、「使っていないのあるけど」と伝えてほしい。

俺の場合はじぶんから5ヶ月を超えたあたりで、周囲にお願いをしまくった。

非常に助かっている。

わりと周りもお下がりを使ってるらしく、喜んでくださった。

あるベビーシートなど、簡単に着脱ができるタイプのもの。

しかも、車から直接はずして、そのままベビーカーに装着できたり、

そのまま床において押すとゆらゆら揺れてバウンサーになってくれるなど、大変便利なものだった。

また、もう一つもらったベビーシートは上のような汎用性は無いが、一方で、太いパイプでできており、頑丈で、簡単に着脱ができるわけではないが、年齢が大きくなっても安全に使い続けられるようなつくりになっており、いずれ使わせてもらおうと思う。

バウンサーや、ベビーバスなど、ほんとうに短い時期にしか使えないものなので、買うのが勿体無いと感じている人は有効利用させてもらえる。

また、靴下なども「勝ったはいいけど、すでに小さくて使えなかった」「一度しか使ってないけどよかったら使う?」

といったものを沢山、友人からいただけて、これもこれから大きくなる我が家にはありがたかった。


★やられた!と思ったのは靴、ベビーマグ、ランチセットだ。

なかなか、靴はよこさない。サイズなどもあるからだろう。しかし、子供はだんだん大きくなるので、おしゃれ靴を買ってもすぐに使えなくなるから勿体無いし、一方でだんだん大きくなるのだから、サイズなど、その過程ではかせることができてしまう。

ベビーマグも、これから外出するようになると持ち運びをするので、便利な必須アイテムだ。

さ…さすが保母さんのお祝い……。

ランチセットもいずれ買うことを見越したアイテム。

すぐ使うようなものは本人たちで買ったり、周囲がくれるだろうし、という見込みか。

当然我が家には当面のものをそろえるので必死な財力しかないため助かる。


★子供の顔が作れるパズル、は面白い。こんなもんあったのか。

今回頂いたものの中で、唯一の記念アイテムである。

携帯で作りたい顔を写メし、センターへ送ると、パズルパーツでの作り方が返信されてくるという。

是非、赤ちゃんの顔を作って飾りたい。

ジガゾーパズル セピア TJ-300-412
テンヨー

ロープライス ¥779
or 新品 ¥1,311



消耗品、服、外出用の服、日用品、ミレニアム(記念)アイテム、金、本、おもちゃ、中古(お願いしてもらってる)、etc...


以上のことから考えると、

出産祝いは、それらしいものなら、


何をもらってもありがたい


ということになる。

俺は、ひろい家がほしい。









20:00に差し掛かったころ、

看護士が再度入ってきて、

子宮口の開き具合を確認した。


「もう7センチ以上開いているんだけど、破水しないわねぇ」

破水、と聞くと俺は今まで怖いイメージしかなかったが、

必要な現象らしい。

赤ちゃんが下りてきて、最後に子宮内で破水をする。

そうすると、さらに赤ちゃんが下りやすくなり、頭が子宮口から出始める。

そうして、10センチまでいたる、ということらしい。


「いつ生みたいの?」

はい?

「ここまでいたら、人口破水します」

嫁の顔が、不安でぽかん、とする。

「いや、別にいつでもいいですけど」と、俺。

「じゃあ、破水させちゃいましょ。そしたら、23時には生まれるわ」

「ちなみに、人口破水、ってどうやるんですか?」と嫁。

「んー?簡単よ。直接マタから手をつっこんで、ハリでぷす、ってすんの」

嫁の顔が恐怖でゆがむ。

「だぁいじょぶよぉ。あんたおもしろいわね。ちょっと痛いだけだから。マタからぴゅーって水が出ておしまいっ」

と、言うとさっさとその場から支度をしに去ってしまった。


戻ってくると「はい、だんなさんはすいませんねー」と、

あっさり追い出されカーテンでシャットアウト。

廊下に出てふらふらしていると、

「ぃぃぃぃぃ………ったぁいぃ…………」

とかすれ声が聞こえてきた。

そして、そんな声を掻き消すように

「はいちょっと痛かったですねーごめんなさいねーはいこれでおしまい、おしまいおしまい。あとは頭が出てくるまで待ちましょうねあと2時間くらいかしらね」

と一気に元気のいい看護士さんの声。

そしてカーテンの開く音。


俺が入っていくと、嫁の様子はわりと普通だったが、

ベッドには羊水のシミが確かにできていた。


そして2時間後、看護士は嫁の子宮のようすを確認すると、

「そろそろ、分娩室に行きましょう。ここまで出れば、あとはすぐ生まれちゃうから。ちょっとまってて」

と言い、

「だんなさん、ご両親とか、呼ぶ方がいたら呼んじゃって。分娩室にも準備とかあるから、これから少し時間使うし、かかる時間分かったら受付に言ってくれる」

と教えてくれた。


もともと俺は2人で生む気満々だったのだが、陣痛室に入ったタイミングで両親へ一応報告すると

「じゃあ、今から行くわね」と。

「いいよ、こんな姿、見せたくないって言ってるし、かえって気を使うよ」と俺。

嫁の両親は遠い場所に住んでおり、簡単には来られない。旦那の親の面倒になるなんて、少し考えただけで気を使いそうだ。

「だって大変よ、腰さすったり」と、母。そういう問題ではない。

「じゃあせめて、生まれる時には近くにいさせてよ。産声聞きたいじゃない」

と、心底残念そうに母。

「そういうのもやめようよ、生もうとしてうなっている声なんて、聞かせたくないよ、きっと」と俺。

その言葉を言うや否や、母がきーーーーーーーーーーーーっと絶叫した。反射的に受話器を耳から放した。

「あんたね! 初孫よ! 少しは私たちのことも考えなさいよ! この親不孝もの! 産声くらいね! 聞かせるもんなのよ!」


こわいこわい


「嫁に一応聞いてみるよ」

と、いい、嫁に分娩のとき、部屋の外で見守りたいらしいんだけど、と伝えると、

あっさりOKとのこと。

親に伝え、分娩室に入るタイミングで教えることにしておいた。

それから3通くらい「絶対よ」「連絡待ってるからね」と数分おきに来たのがうざかったが、やむなし。


嫁が分娩室に入って間も無く、両親がやってきた。

一応嫁の両親にも伝えておいたが、それは伝えた直後に「明日にでも改めてうかがいます。よろしくお願いします」

と連絡を受けていた。


俺だけが、看護士にうながされ、分娩室に入ると、なんとかオブジョイトイのように見事なM字が、

医療器具、という名の拘束器具によって作られた嫁がいた。

もちろん、例の陣痛測定器も設置されていた。

やがて医師の先生がやってくると看護士さんが、

「それじゃあ、陣痛が一番強いところで、いきんでください。2回連続でいきみましょ。特に2回目に力を入れてみましょ」

という。


陣痛測定器を見ながら、看護士さんが音頭をとる

「くるわよ、ここで行きましょう、吸ってー…吸ってー…吸ってー…はいっいきんで!! …もう一回!!」

嫁が「うーうー」いいながらいきむ。

なるほど。男はなんもできん。

俺はただ、嫁がもってきたうちわを隣でぱたぱたはたいでいた。

しばらく繰り返すと、看護士さんが「もう少しね」と言う。

嫁は「少し、休憩を」と言い、俺の手に握られたペットボトルのジャスミン茶で軽く口をゆすいだ。


そして、

再度、そのいきみを行う。

休憩から二度目のいきみのタイミングで看護士さんが「これで最後にしちゃいましょう!」と言い、

今までしゃべっていた方とは別の看護士さんが、嫁の腹の横に立った。

せーのっ

「うーーーーーーーー!!」

嫁がいきむ。腹の横の看護士がびっくりするくらい全体重をのせて腹を押す。

びっくりして、俺のあおぐうちわがスピードアップ。嫁の髪を吹き散らす。

医師が「よし」と陰部に麻酔を手早く打ち、そのままはさみで


じょきん!じょきん!じょきん!


と切る音。

会陰切開といい、赤ちゃんの頭が通り易いように、陰部を切るんだそうな。

そして、間も無く取り出される赤ちゃん。

すぐに腹の横にいたのとは違う看護士さんが取り上げ、羊水を飲ませ泣かせてくれた


おにゃあ

あにゃあ

おにゃあ


22:59分

誕生。

女の子。

髪がぼーぼー。


嫁は泣きながらまだ血だらけの娘にぺたぺた触れていた。

俺が小指を娘の手の平に当てると、かなり力強く握ってきた。

分娩室から出ると両親が喜んでくれていた。


翌日俺は

全身がひどい筋肉痛で

有給休暇とって会社を休んだ。


嫁と娘に会いに行った。






【がきんちょ誕生回顧録 完】