■社長の独り言…第281回「ショウリョウバッタ、高度10,000mを飛ぶ」(2024年7月8日) | ㈱日科技連出版社 社長、戸羽 節文 のブログ

㈱日科技連出版社 社長、戸羽 節文 のブログ

㈱日科技連出版社 https://www.juse-p.co.jp/ の社長、戸羽節文のブログです

もう5、6年前の話となるが、小学生だった息子の昆虫観察として、ショウリョウバッタを飼っていたことがある。

 

7月の初めころ、家の傍で捕まえた、体長7cmほどのショウリョウバッタ。

 

 

毎朝、虫かごのフンを掃除し、餌の葉っぱを取り換え、霧吹きで湿らす。

 

取り替えたばかりの葉っぱに齧りつき、カリカリと小気味いい音を立てて餌を食べるその姿に、こっちも元気をもらう。

 

夏休みになって、長崎に1週間ばかり帰省する際、このままショウリョウバッタを置いていくわけにもいかず、結局、長崎まで連れて帰ることにした。

 

羽田空港の手荷物検査場で、空港税関の若い男性職員が、「これ、ショウリョウバッタですね」と笑顔で話してくれた時は、何だか嬉しかったな。

 

というわけで、我が家のショウリョウバッタは空路長崎まで、高度10,000mを飛んだわけである。

 

長崎の母親には、

「なんねー、バッタまで持ってきてー」

と驚かれたが、これも息子の情操教育のひとつなんだよな。

 

ショウリョウバッタは長崎でも毎日取り換える新鮮な餌を食べ、元気もりもり。

 

帰りの空路も、自分が高度10,000mを飛んでいるという認識もないのだろう、静かに虫かごの中で過ごしていたな。

 

希少種以外のバッタで高度10.000mを二度飛んだショウリョウバッタは居ないのではないだろうか。

たぶんギネスだな。

 

そしてショウリョウバッタは、翌年2月のある朝、突然死んでしまった。

 

亡骸は感謝の気持ちと共に土に埋めて、丁重に埋葬した。

 

子供の頃、長崎の野山を駆け回ってバッタからトンボ、蝶、蝉、クワガタを捕まえては手で触って観察し、長崎のファーブル君と自称していた親父と違って、その息子、実は昆虫が苦手である。

 

長崎に帰る時、ショウリョウバッタは逃がしてあげれば良かった。

バカ親父のバカな思い込みで、尊い命を粗末にしてしまった。

ごめんなさい。

どうか許してください。

 

 

http://www.juse-p.co.jp/

https://twitter.com/jusepress

 

 (了)