■社長の独り言…第74回「映画の日々」(2021年4月12日) | ㈱日科技連出版社 社長、戸羽 節文 のブログ

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 就職を機に引っ越した、高円寺のモルタル造り、風呂なし、ついでにエアコンもなしのアパートに住み始めた頃、シネサイクル「(はん)頭脳(ずのう)」のA先輩から電話をもらった。

 

 「タカフミ、ビデオデッキ買わない?」

 

 A先輩は、私が学生時代に住んでいた三鷹の“土蔵部屋“の隣のアパートに住んでいて、大学に入学してから現在に至るまで、実の兄のように、いろいろと面倒をみてくれている恩人である(これからも本ブログに度々登場していただくことになる)。

 

 A先輩はイベント会社で働いており(後に自身の会社を興される)、ちょうどイベントの開催場所だったのだろう、その横浜のデパートで、持ち帰りという条件で、VHSのビデオデッキが格安で買えるという。

 

 1980年代半ば、ビデオデッキは高級品で、確か2万円台だったと思うが、これは破格に安い。

 一も二もなく、「買います!」と返事して、家中の小銭までかき集めて買いに走った。

 

 貸しビデオ屋は今は廃れたが、高円寺北口のあづま通り商店会にも1軒あった。

 毎週末に立ち寄っては、観たかった映画、観たこともない映画のビデオを借りまくった。

 その貸しビデオ屋では貸出本数に制限があって(確か5本までだったか)、毎回上限まで借りた。

 

 モニターは14インチの小さなTVだったが、映画は楽しく、面白く、感動した。

 時の経つのも忘れさせ、時に泣き、時に激しく心が震えた。

 

 映画サークル出身なので、ジャン=リュック・ゴダールやフェデリコ・フェリーニ、フランソワ・トリュフォー、アンジェイ・ワイダといった巨匠の作品を観てしかるべきだが、観たのはそのほとんどがハリウッド映画だった…。

 

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 (了)