そんなのも知らないの?


そうです、知らなくて当たり前の時代なのです。


今や新車販売台数のMT車の比率は全体の1%代。


普通車の免許取得者でMT車を選択する比率も全体の約3割弱。


実際に教習の現場でもMT車で教習を受けに来た方でも『違いが分かりません』なんて声も聞くことは珍しくありません。


ですから、これから免許取ろうと思ってるけど、どっちを選べば良いか迷ってる方や、恥ずかしくて今更何が違うのか聞けない方にも今回はその違いをご説明しようと思います。


  MT車の定義とは?

MTとはそもそも『Manual Transmission』の略で、つまりは変速の操作を手動で行うことの略語です。


MT車というとイメージとしては手元でカチャカチャとシフトノブやら何やらをせわしく動かしているイメージがあると思いますが、実はMT車とAT車の免許の区分上での最大の違いは『クラッチ操作を有する』かどうかです。


1番左のペダルがクラッチペダル


MT車というとスポーツカーをイメージする方は多いと思いますが、国産スポーツカーの代表である日産のGT-R

や、誰もが知るスポーツカーの代表格フェラーリ


なども現行で販売されている車種はほとんどが変速操作を行うことが出来るものの『クラッチ操作は有さない』ので、実はAT限定免許でも運転出来る車種でもあるのです。


つまり、MT車とは手元の操作というよりも最大の違いは足元のクラッチペダルの操作と思ってもらえれば良いと思います。


  クラッチとは?

難しい言い方をすると『動力伝達装置』となりますが、実際の初期の教習段階でも1番説明の難しいものでもあります。


エンジンで発生した動力を変速装置を介してタイヤに伝えるその中間にある装置の操作に当たるのですが、その説明が専門的になりつつあり、よく分からずにMT車での運転に挫折を味わった方も多いのではないでしょうか。


発進する時や変速する時、停止する時、低速走行する時など、実は目に見えない足元でたくさんの仕事をしなければならないのがクラッチ操作で、その操作に不備があるとクルマがガタガタと不快な振動を起こしたり、最悪な症状としては『エンスト』を起こしてエンジンが停止する事態にまで発展する事となります。


特に教習における初期段階の皆さんはそこに注力して練習を進める訳ですが、そこでクルマの挙動がAT車のようにスムーズで軽やかな動きが出来るようになると、何にも変え難い快楽を覚えることにもなるのです。


  AT車とは?


右がアクセルペダルで左がブレーキペダル


上記で述べたようにAT車は『クラッチ操作を有さない』ものであるため、足元のペダル操作は基本的にアクセルとブレーキ操作のみとなります。




ATとは『Automatic Transmission』の略で、手元のレバー操作でDレンジにシフトしてブレーキ操作を解除すればゆっくりクルマは動き出して、アクセルペダルを踏み込んでゆけば速度が上がってゆき、その際本来は必要な変速の操作はまさにクルマが自動的(automatic)に行ってくれます。


ですから、MT車と違って不快な振動を起こすことや不用意なエンストを起こすことは基本的にはありません。


技術の進歩で今や大型バスや最新鋭のスポーツカーなどもほとんどの車種がAT車へと進化しています。


メリットとデメリットは? 

それぞれにメリットもあればデメリットもあり、これはあくまでも私の主観になってしまう部分もありますが、


MT車のメリットは、

● 運転の醍醐味を味わえる。

● スムーズな操作が出来た時に何とも言えない達成感がある。

● AT車よりも若干燃費が良い。

● カッコイイ(と思われる事もある)。

● 優越感に浸れる(事がある)。

● 何より運転が楽しい。

などなど…


逆にデメリットは

● 操作に不慣れだとクルマの動きがギクシャクしたりエンストする事がある。

● 特に低速走行時はクラッチ操作を頻繁に行うため、渋滞時のペダル操作はまさに地獄。

● MT車自体が希少なため、乗りたいクルマの制限が多い。

● 坂道での発進は常に緊張が伴う。

などでしょうか。


AT車のメリットは、

● 変速の操作の必要が無いため、運転者はハンドル操作や安全確認に集中する事が出来る。

● 規定の教習時限数がMT車よりも少ないため、教習の料金もMT車より安い。

● 大抵の車種はAT免許でも運転する事が出来る(上記の通り現在の新車はほとんどがAT)。


いっぽうデメリットは、

● 操作が単調なため、交差点などが少ない単路では漫然とした運転になりやすい。

● メディアでも多く取り上げられているが、アクセルとブレーキの踏み間違えが大惨事に発展する危険性がある(MT車はクラッチの関係で踏み間違えが生じても即暴走に繋がるわけではない)。

● 取得した運転免許に『ATに限る』の条件が付される(これが嫌でMTを選ぶ方もいる)。

など…


他にも色々なメリットやデメリットはたくさんあると思いますが、今の自動車業界はEV(電動)車にシフトしつつ有り、今後の免許制度も見直しがあるかもしれません。


しかし、現在の車社会ではMT車もAT車も混在しています。


MTに不安があってもまずは自動車学校での教習で基本からしっかりと練習をする訳ですし、ATで免許を取得してからでも、限定解除教習という規定教習時限4時限の教習を行って、その後教習所で行う技能審査に合格すればそれからでもMT車を運転する事は可能です。


ですから最終的には目的や金銭的なこと、将来的なことなど自分に合った方を選ぶ事が良いと思います。