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50社が上場待ちの裏で相次ぐ破綻 踊るロボットは稼げるのか? | Gan Jing World
中国ロボット企業の倒産が止まらず
中国のロボット業界で、企業の破綻が相次いでいます。かつて企業価値が数千億円と評価された企業も、破産清算の申し立てが裁判所に受理されました。その一方で、50社もの企業が株式上場を目指しています。なぜ同じ業界で、破綻と上場ラッシュが同時に起きているのでしょうか。
まずは、破綻した企業から見てみます。
深セン市中級人民法院の公式サイトによると、今年7月、債権者による盈合(えいごう)ロボット社の破産清算の申し立てが受理されました。
同社は2020年3月に設立され、最盛期の企業価値は約784億円(5億ドル)でした。
株主には、美団やバイトダンスのほか、地方政府系の投資機関も名を連ねていました。
9月には、プール清掃ロボットを手がける智橙動力社に対し、債権者が経営再建に向けた法的手続きを申し立てました。
5月には、上海の深蘭ロボット社の破産清算の申し立ても裁判所に受理されています。同社の企業価値は、一時約3289億円(140億元)に達していました。
さらにさかのぼると、2025年には達闥ロボット社の破産清算の申し立ても受理されました。親会社である達闥股份社の企業価値は、最盛期に約4698億円(200億元)を超えていました。
こうした事例は、一部の企業だけに限られません。報道や裁判所の公告によると、2025年2月から2026年9月までの20か月間に、20社を超えるロボット企業が、破産、解散、清算、あるいは事業部門の閉鎖に追い込まれました。その範囲は、少なくとも11の分野に及んでいます。
一方、投資が過熱している側はどうでしょうか。企業の資金調達情報を扱うIT桔子のデータによると、2026年1月から8月までのロボット分野の資金調達額は、約2.9兆円(1245億1000万元)に達しました。報道によると、今年7月までに、すでに50社のロボット企業が上場に向けた手続きに入っています。
深セン市の逐際動力社は7月、上場前の資金調達で約314億円(2億ドル)を確保し、創業者は、上場はもはや欠かせないと述べました。
最もよく知られているのが、宇樹科技(ユニツリー)社です。同社は、ダンスや宙返り、カンフーを披露するロボットで知られています。2026年の旧正月の大型特別番組では、同社のロボットが壁を乗り越えたり、後方宙返りをしたり、剣を使った武術を披露したりしました。宇樹科技社は8月、上海証券取引所の新興ハイテク企業向け市場「科創板」で、1株約3542円(150.80元)の価格で株式を発行し、約1433億円(61億元)を調達しました。この発行価格に基づく時価総額は約1.4兆円(610億元)となり、個人投資家向けの募集には、割当株数の8000倍を超える申し込みがありました。時価総額は2025年の利益の約219倍、年間売上高の約36倍に達しました。調達資金は、ロボットが周囲の状況を認識して動くためのAIモデルや、ロボット本体の研究開発、生産能力の拡大に充てるとしています。上場初日の8月19日には、最初についた株価が発行価格を629%上回り、1株約2万5800円(1100元)に達しました。
この過熱と冷え込みが同時に起きている理由を理解するには、まず、このブームがどのように生まれたのかを見る必要があります。
中国は近年、先端技術で 経済成長を促す、いわゆる「新たな質の生産力」を強く推し進め、ロボットをその重点分野に位置づけてきました。政策の方向が示されると、短期間で多くのロボット企業が次々に誕生しました。国家発展改革委員会は2025年11月、中国国内には150社を超える人型ロボット企業があり、似たような製品が大量に出回ることで、投資バブルが生じるおそれがあると警告していました。一部の起業家にとって、ロボットを作る目的は、必ずしも優れた製品を生み出すことではなく、政府の補助金を引き出し、投資を集めることにあります。時事問題を分析する夏言(か・げん)さんは、多くの企業が作るロボットは見かけ倒しで、実演では華やかな動きを見せても、実際に役立つ用途が乏しいと指摘しています。そのため、中国ロボット業界の活況は、政策が生み出した見せかけの繁栄にすぎないとの見方も出ています。
8月の世界人型ロボット運動会では、ロボットが動作に失敗したり、転倒したりする場面が少なくありませんでした。会場の盛り上がりと実際の受注の間にも、明らかな隔たりがあります。宇樹科技社の上場申請資料によると、2025年1月から9月までの人型ロボットの売上高のうち、研究·教育向けが74%を占め、産業向けはわずか9%でした。市場でも評価の見直しが進んでいます。宇樹科技社の株価は上場後に大きく下落し、ロイター通信によると、高値からの下落率は最大55%に達しました。
台湾の半導体大手TSMCの魏哲家(ぎ·てつか)会長は今年3月、中国のAIロボットについて、「跳び回っているだけで、役に立たない。見栄えがいいだけだ」と公の場で述べました。そのうえで、ロボットにとって重要なのは、周囲の状況を感知する仕組みと計算能力だと強調し、世界のロボットの頭脳となる半導体の約95%をTSMCが製造していると述べました。
台湾の中央通信社が紹介した論評は、中国のロボット分野にある2つのバブルが、すでに明らかになったと指摘しています。
1つ目は、技術のバブルです。企業が作ったものが、実用化につながっていません。
2つ目は、資本のバブルです。意図的に実態を偽り、企業をよく見せているというものです。
この論評によると、多くのロボット企業の成長は、絶え間ない資金調達に支えられています。研究開発費、人件費、生産費用をすべて外部からの資金で賄い、本業では入ってくるお金よりも、出ていくお金のほうが多い状態です。言い換えれば、売っているのは製品ではなく、「将来の夢」だということです。
この仕組みには、致命的な弱点があります。投資家が資金の提供に慎重になり、資金調達が難しくなると、たちまち資金繰りが行き詰まることです。36氪などのメディアは、関係者の話として、盈合ロボット社の2025年の売上高はわずか約1億円(433万元)で、最終赤字は約15.7億円(6700万元)だったと伝えています。深蘭ロボット社については、事情を知る関係者が、運転資金の不足が経営破綻の原因だと指摘しています。達闥ロボット社も、新たな資金調達によって資金繰りの問題を解決することができませんでした。
それなのに、なぜこれほど多くの企業が上場を目指しているのでしょうか。CNBCによると、投資家は上場を、投資した資金を回収する手段と見ています。初期から出資していた投資家が、株式を売って現金化できるようになるためです。しかし、宇樹科技社の株価が下落して以降、上場による資金回収は当初ほど順調ではなくなっています。上場を待つ企業が数多くあるからといって、業界が健全だとは限りません。
中国情報通信研究院は、清華大学電子工学系などの機関と共同で、10月に「具身智能発展報告(2026年)」を発表しました。「具身智能」とは、ロボットなどの身体を通じて、周囲の状況を認識し、行動するAI技術のことです。報告書は、中国のこの分野で、過熱と冷え込みの二極化が起きていると指摘しています。資本市場や政策面での関心は高まり続けていますが、大規模な実用化や、継続的に収益を生む事業の確立には、依然として多くの課題があります。技術の実演と、顧客に実際に使える製品を届けることの間には、明らかな隔たりがあるというのです。報告書によると、かなりの割合の機器が展示施設での案内やイベントでの実演に使われ、一部は月平均の稼働日数が10日にも届いていません。今後2~3年で、競争力の弱い企業の倒産や撤退が進み、その動きがいったん落ち着くと予測しています。
こうした企業の倒産や撤退は、これまでも起きています。中国の電気 自動車業界も、補助金や地方政府の政策に後押しされ、急速に拡大しました。メディア「Rest of World」によると、電気自動車メーカーの数は、2018年の487社から2024年には約130社に減少し、哪吒汽車(ナタ・オート)社の親会社も、2025年6月に破産手続きに入りました。ただし、主に市場から姿を消したのは、中核となる技術を持たず、安定した資金繰りを維持できない企業であり、業界全体が立ち行かなくなったわけではありません。
ロボットが踊れるかどうかは、展示会で注目を集められるかどうかを左右するかもしれません。しかし、企業が長く生き残れるかどうかを決めるのは、ロボットが実際に働き、費用を減らし、効率を高められるかどうかです。
(翻訳・藍彧)
