Rael Maitreya
Nobby Raelian
訳
日本、ヒトの脳の1立方ミリメートル内に存在する全ニューロン接続をマッピング/これまでどの生物種でも確認されていなかった未知の回路を発見
日本の科学者たちは、ヒトの脳の1立方ミリメートル内に存在するすべてのニューロン接続をマッピングし、これまで世界のどの国も作成したことのない、史上最も詳細な神経配線図を構築しました。
人間の脳には、およそ860億個のニューロンが存在し、100兆個のシナプスによって結び付いています。この驚異的な複雑さを持つ『コネクトーム(神経接続全体図)』を体系的に解読しようとする試みは、1970年代から続けられてきました。
これまで完全なコネクトームが作成されたのは、単純な生物だけでした。例えば、302個のニューロンを持つ線虫 C. elegans や、14万個のニューロンを持つショウジョウバエです。
この解像度で人間の脳をマッピングすることは、計算量の面から不可能と考えられていました。
埼玉県にある理化学研究所 脳神経科学研究センターの研究チームは、集束イオンビーム走査電子顕微鏡法を用い、組織を8ナノメートル単位で切片化して一枚ずつ撮影しました。さらに、AI支援によるニューロン追跡技術を組み合わせることで、人間の側頭皮質1立方ミリメートルのサンプルを解析しました。
このサンプルには、5万7000個のニューロン、1億5000万個のシナプス、そして総延長4キロメートルに及ぶ軸索配線が含まれていました。
生成されたデータセットの容量は1.4ペタバイトに達します。
このマップにより、これまでどの研究対象生物でも確認されていなかった新しい回路モチーフ……繰り返し現れる神経配線パターン……が発見されました。また、皮質の異なる層にまたがって活動を調整していると見られる、独特な分岐構造を持つ抑制性介在ニューロンの一群も特定されました。さらに、興奮性ニューロンがまれに自分自身へ戻る自己強化ループを形成していることも確認され、これは記憶固定化の基盤である可能性があると考えられています。 このマップは一般公開されており、現在、世界中の神経科学者たちがその解析を進めています。
出典:RIKEN Center for Brain Science / Science(2024年)
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