沖縄にいるこわ~い生物「ハブクラゲ」 ビーチを楽しむ3つの鉄則(1/2ページ) - 産経ニュース (sankei.com)

 
Rael Maitreya

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サメ以上に危険な海洋生物「ハコクラゲ」について知っておくべきこと

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海を訪れる人たちを最も怯えさせている生物といえば、おそらくサメだ。しかし、数を見てみると、サメに襲われて死ぬ人はごくわずかだ。 

 

【画像】ハコクラゲと刺された人の脚部 

 

フロリダ大学の研究者らが収集したサメによる攻撃のデータベース、International Shark Attack Fileによると、報告された死亡例はわずか141件だ。サメの中で最も恐れられているホホジロザメが死亡例の59件に関わっており、ヨシキリザメとイタチザメがそれぞれ2位と3位となる。 重要なのは、これが1年や10年の間に起きたものではないということだ。データベースは1500年代に遡って、わかっているサメの攻撃をすべて含んでいる。

 

つまり、サメに襲われて死ぬ確率は、2億分の1以下になると研究者らは推測している。 

 

では、海で最も生命に危険をもたらす動物は何だろうか? それはハコクラゲ(学名:Cubozoa)だ。ハコクラゲは年間40~100人の命を奪っていると推定されているが、多くの科学者が、実際のところその数はさらに多いだろうと考えている。 

 

■1. ハコクラゲとは何か? 独特な箱型の傘を持つことから名付けられたハコクラゲは、約50の種からなる箱虫綱に属している。強力な毒で知られているが、毒の種類は種によって異なり、人間に無害なものもあれば、数分間で死に至らしめるものもある

 

 ハコクラゲの中でも最も危険なのがハブクラゲ属で、オーストラリアウンバチクラゲ(学名:Chironex fleckeri)がその1つだ。極めて毒性の強いハブクラゲ属は、主にオーストラリア北部からインド太平洋地域にかけての沿岸海域に生息している。 

 

ハコクラゲの傘は直径30cmに達し、それぞれの角から伸びる15本の触手は長さ3mにもなる。触手には数千個の銛(もり)のような刺胞(しほう)が並んでおり、獲物あるいは運の悪い人間と接触した際に毒を注入する。 その毒に心臓、神経系および皮膚細胞を急激に攻撃する能力があることから、ハコクラゲとの遭遇は人間に深刻なリスクをもたらす。刺されると強い痛みを感じ、迅速な治療を受けなければ心不全を引き起こし数分以内に死亡することもある。透きとおった外観と一見すると繊細な性質にも関わらず、ハコクラゲは恐ろしい海の捕食者であり、毒のある触手を使って魚や甲殻類を捕らえる。熱帯および亜熱帯の水域におけるハコクラゲは、危険を冒して彼らの居住地に踏み入る海水浴客やサーファー、ダイバーらに警戒されている。

科学者はいまだにハコクラゲの複雑な毒を完全に解明できていない

2. ハコクラゲはどこにいるのか? ハコクラゲは熱帯および亜熱帯の水域、中でもオーストラリア、東南アジアおよび太平洋諸島の海岸でよく見られる。ハコクラゲが生息していることがわかっている具体的な場所には、オーストラリアのグレートバリアリーフおよび北部海域がある。浅瀬や河口を好むが、沖合で見つかることもある。 オーストラリア以外にはタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどの水域でも見られる。ハコクラゲの分布は水温、塩分濃度、風および餌の有無に影響される。その強力な毒と死に至る刺胞(毒針)のために、それらの地域でウォーターアクティビティを楽しむ人たちにとって、予防措置は不可欠だ。 

 

■3. ハコクラゲの致死力が高い理由 

 

ハコクラゲが最も危険な海洋生物に挙げられるのは、強力な毒とその効果的な注入システムのためだ。長年におよぶ研究にも関わらず、ゲノム研究によって150種類以上の潜在的な毒素を含むとされるハコクラゲの複雑な毒を、科学者はいまだに完全に解明できていない。 これまでの研究で、毒の中には、血球を破壊するポーリン、筋神経系を妨害するイオンチャネルブロッカーおよび心臓細胞に働きかけて心不全の原因となるカルディオトキシン(心臓毒)が含まれていることがわかっている。毒は、触手に沿って密に並んでいる刺胞と呼ばれる微細な銛状の構造を通じて注入される。こうしてハコクラゲは迅速かつ効率的に獲物を麻痺させたり脅威から身を守ることができる。 ハコクラゲは有毒兵器を装備しているだけでなく、驚くべきスピードがあり、水中を最高時速8kmで泳ぐことができる。釣り鐘型の体と多数の触手によって、ハコクラゲは効率的なハンターとして、獲物を迅速に捕え制圧する。その半透明あるいは透明な姿は発見を困難にしている。

遭遇リスクを減らすためにできること

ハコクラゲの存在は、特に海水浴シーズンのピーク時に、海水浴客、サーファーおよびダイバーに著しいリスクをもたらす。このため深刻な怪我や死に至る接触を避けるためには、彼らの生息場所や行動を認識して警戒することが必要だ。 オーストラリアだけでも、ハコクラゲは年間約80件の死亡原因となっている。刺傷被害のリスクが最も高いのはオーストラリア北部水域における10月から5月の期間だが、死亡例は7月を除いて毎月報告されている。多くの事故は10月から6月の間に海岸の浅瀬で起きている。

 

 ■4. 遭遇リスクを減らすためにできること ハコクラゲに遭遇し、刺されるリスクを最小限にするために、彼らの生息地で遊泳、サーフィンあるいはダイビングをする際に取るべき予防措置がいくつかある。まず何よりも重要なのは、訪れる予定の水域にハコクラゲが存在するかどうかの最新情報を入手することだ。地域の自治体、監視員あるいは海岸の掲示は、クラゲの出没と警告に関する最新情報を提供していることが多いので、海に入るかどうかの決断を下すのに役立つ。ハコクラゲの個体数は地域によっても、1年を通じても変化するので、数が最大となるピーク時に泳ぐことは避けるのが賢明だ。  全身水着やラッシュガードといった保護服を使ってクラゲの触手に対する物理的なバリアを作ることで、接触のリスクを緩和することもできる。さらに、クラゲに刺されるのを防ぐ用つくられた保護ローションなどである程度の効果を得られるかもしれない。 人気のビーチで安全区域としてネットで区切られた場所で泳ぐことでも、クラゲと遭遇する可能性を著しく減らすことができる。夜間や水が濁っていて視界が悪い時は、ハコクラゲを見つけるのがより困難になるので注意すること。最後に、万が一ハコクラゲに刺されてしまった時は、ただちに医療機関へ行き適切な治療を受けて毒の効果を緩和することが重要だ。

Scott Travers

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