次期メキシコ大統領、クラウディア・シェインバウム

<記事原文 寺島先生推薦>
Claudia Sheinbaum: The Next President of Mexico
筆者:ゾーイ・アレクサンドラ(Zoe Alexandra)
出典: INTERNATIONALIST 360° 2024年6月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月11日



選挙運動開始時のクラウディア・シェインバウム氏

この進歩主義指導者北米初の女性大統領として歴史を作り、同志のロペス・オブラドール大統領の足跡をたどり、反新自由主義の経済発展展望を構築する、と誓った。

クラウディア・シェインバウム博士が6月2日のメキシコ大統領選挙で勝利し、メキシコ初の女性大統領となった科学者と公務員、ノーベル平和賞受賞者、そして長年の活動家である彼女は、国家再生運動(MORENA)、労働党(PT)、メキシコ緑の環境党からなる「歴史を作り続けよう」連合から出馬した。58%の票を獲得したシェインバウム氏は(午前1時25分(UTC-6)のINE速報によると)、右派のメキシコのための力と心連合(PRI-PAN-PRD)の候補者であるソチル・ガルベス・ルイス氏を破った。ホルヘ・アルバレス・マイネス氏は総得票率の約10%で3位となった。

シェインバウム氏は、勝利を祝うため、メキシコ市中心部のソカロで何千人もの支持者に向かって演説した。「メキシコの日常生活における第四次変革を皆さんが認めてくれたことに、興奮と感謝の気持ちを感じています。これまでもそうしてきたように、ここでも皆さんを失望させないことを約束します。今日、メキシコ国民は第四次変革の継続と前進を可能にしました。また、200年ぶりに、私たち女性が共和国の大統領に就任したのです!」

これに先立つ記者会見で、シェインバウム氏はMORENAが下院で過半数を獲得し、上院でも過半数を獲得する見込みである、と発表した。メキシコシティの市長選挙では、イスタパラパ市の元市長クララ・ブルガダ氏が勝利した。

シェインバウム氏の政党MORENAは、投票締め切りの約1時間半後に記者会見で彼女の勝利を発表した。主要な出口調査はすべて、彼女の勝利を2対1の差で予測しており、彼らはこれを覆せない傾向と特徴づけた。MORENAのマリオ・デルガド党首は、「今日、主権、独立、民主主義も勝利しました。国民は、憎悪宣伝工作や嘘に騙されないことを示しました。投票がネット上のボットを破ったのです!」と述べた。

国立選挙管理委員会(INE)は午後8時(メキシコ市時間)から速報結果の発表を開始した。日曜(6月2日)の深夜直前、国立選挙管理委員会(INE)のグアダルーペ・タッデイ・サバラ委員長は速報結果の暫定結果に基づき、クラウディア・シェインバウム博士が右派候補のソチル・ガルベスに大差をつけて大統領選に勝利する見込みである、と発表する声明を出した。同委員長は日曜(6月2日)の地方選挙と連邦選挙には有権者の58.9~61.7%が参加した、と付け加えた。

緊張が高まり始めたのは、保守派候補のガルベス・ルイス氏が出口調査とINEの予備結果で確認された圧倒的敗北を受け入れるのではなく、支持者に警戒を怠らないよう呼びかけ、自身が実際の勝者になることを示唆した時だった。その後、ルイス氏は一連のツイートを投稿し、「警戒」するよう繰り返し訴え、こう記した。「彼らはあなたがたが彼らに負けたと思って寝てほしいと思っています。彼らはいつものように嘘をついています」と。専門家たちは、ガルベス氏が「不正を訴え」、予想どおりの敗北を受けて選挙結果を覆そうとする状況を警戒していた。

しかし、公式発表によりMORENA選出候補のシェインバウム氏の圧勝が確定されると、この見方は誤りであるとすぐに証明された。シェインバウム氏が勝利を発表したとき、ガルベス氏が少し前に祝福の電話をかけてきたことを彼女は認めたのだ。

クラウディア・シェインバウム氏は歴史を作り続けることを誓う

シェインバウム氏はメキシコだけてはなく、北米初の女性大統領となり、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール前大統領が「メキシコ人道主義」の理念を掲げて開始した「第四次変革」計画を継続することを誓っている。この反新自由主義の社会経済計画は、メキシコ市民の最低賃金の引き上げ、教育、住宅、医療などの主要な権利の行使を増やすための社会経済計画の拡大を通じて、メキシコ全土で国内の大多数の人々の生活水準の向上に大きな成功を収めている。ギャラップ社の世論調査によると、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO氏は国民の8割の支持率で任期を終えることになる、という。

シェインバウム氏は2023年4月のピープルズ・ディスパッチ社とブレイクスルー・ニュースのインタビューで第四次変革(4T)計画の重要性について次のように語った。「国家は国民に権利を与えなければなりません。権利とは何でしょう?教育や健康、家、すべての高齢者のための年金です。私たちはエネルギーなどの経済の戦略的分野についても信じています。特に電気や石油、そして主にリチウムについては、国家がこれに関与する必要があります…これは重要であり、この先非常に重要な資源になるでしょう…民間投資をGDPや国際投資だけで測ることはできません。公的機関においても民間においても、国民の富に対する投資を測る必要があります。そしてそれが、すべてが市場によって解決されると信じられてきた新自由主義との大きな違いです。



メキシコの北の隣国である米国は、メキシコにとって最も重要な貿易相手国である。AMLOは6年間の任期中、ドナルド・トランプ、ジョー・バイデン両大統領と概ね友好的な関係を維持してきたが、重要な問題では自らの立場を曲げなかった。例えば、大統領として、AMLOは米国のキューバ封鎖、ジュリアン・アサンジの投獄と迫害、この地域の企業および帝国主義的利益への従属など、米国の政策と真っ向から対立する問題について最も強い発言力を持っていた。AMLO はまた、地域統合の場を再活性化させる立役者でもあり、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体 (CELAC) の臨時議長を務めたシェインバウム氏が北の隣国やこの地域の他の国々とどのように関わっていくかが、彼女がどんな大統領であるかを決する決定的な要因となるだろう。

 

次期メキシコ大統領、クラウディア・シェインバウム - 寺島メソッド翻訳NEWS (fc2.com)