全米で最も環境にやさしい車は、EVではなく「トヨタ・プリウス・プライム」と米国の評議会が評価

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プラグインハイブリッド車(PHEV)であるトヨタのプリウス・プライム Photo: Matt McClain / The Washington Post / Getty Images

 

米国エネルギー効率経済評議会が、環境にやさしい車ランキングを発表した。そこで1位に輝いたのはEVではなく、意外な「あの車」だった。

 

  【画像で見る】環境負荷がEVより低いトヨタのプラグイン・ハイブリッド車

最もグリーンな「プリウス・プライム」

米国エネルギー効率経済評議会(ACEEE)が、2024年の「グリーナー・カーズ」という環境にやさしい車の評価報告を発表したと米紙「ワシントン・ポスト」が報じた。

 

そのランキングで米国で最も環境にやさしい車とされたのは、なんとプラグインハイブリッド車(PHEV)であるトヨタのプリウス・プライムSEだった。 

 

同調査では、電気自動車(EV)を含め、米国で2024年に販売される1200台の自動車が評価対象となった。二酸化炭素(CO2)排出量の算出にあたっては、走行中だけでなく、自動車とバッテリーの製造に伴う排出量も加味された。また、窒素酸化物、一酸化炭素、粒子状物質など、CO2以外の汚染物質の影響も分析されている。 

 

プリウス・プライムが高く評価されたのは、その効率の良さだ

搭載されているバッテリーは小さく、製造に必要となるレアメタルの量も、排出するCO2量も汚染も抑えられる。その一方で、バッテリーが満充電されていれば電気で70キロメートル走れるほどの容量を持つ。

 

標準の120V家庭用コンセントを使って、空の状態から約11時間で充電できる手軽さだ。国人の1日の平均走行距離は約43キロメートルとされているので、毎日充電すれば、同モデルのバッテリーの力で充分走れるだろう。バッテリーが切れても、ガソリンを動力として走行できる。 

 

なお、プリウス・プライムに次いで上位にランクインしたのはEVばかりで、

レクサスRZ 300e、

ミニクーパーSE、

日産リーフ、

トヨタbZ4Xと続く。

 

日本のメーカーが目立ち、6位に再びトヨタのPHEVのSUVであるRAV4プライムがランク入りしている。

まだそれほど環境に優しくないEV

PHEVが高く評価された背景には、現状ではEVの環境負荷が実はそれほど低くないことがある。

仏メディア「ユーロニュース・グリーン」によると、EVのバッテリー製造には多大なエネルギーが必要になる

英エミッション・アナリティクス社の創業者ニック・モールデンによると、80キロワット時のバッテリーを製造するのに約8~10トンのCO2が排出されるという。 

 

これは、石炭発電がいまだに多い中国で多くのバッテリーが作られ、原料が精製されていることに起因している。今後世界が再生可能エネルギーに移行するにつれ、バッテリー製造にかかるCO2排出量は減少すると見込まれる。

 

 モールデンによると、英国で平均的なドライバーが平均的な車で年間約1万5000キロ走行した場合、年間約2~3トンのCO2を排出する。つまり、現状で、EVのCO2排出をガソリン車よりも少なくするには、4年間はEVに乗らなくてはいけないのだ。 しかし、バッテリーにはほとんどの場合、8年間の保証しかついておらず、10~20年ごとに交換する必要がある。

 

CO2を大幅に削減するためには、バッテリーの寿命を「一般的な自動車の平均寿命である14年程度にする必要がある」とモールデンは指摘する。バッテリーのさらなる改善が必要なようだ。 

 

また、EVのバッテリーは大きいためEVはガソリン車より400~500kgほど重い。そのために特別に設計された太いタイヤを装着する必要があるが、その環境負荷は低くない。化石燃料を使って作られているタイヤは製造過程でCO2を発生するだけでなく、摩耗によって微粒子を放出し、大気や土壌などの環境を汚染するのだ。より大きなタイヤを使えば、より環境を汚染させる可能性がある。 このように、EVは一概に環境にいいとは言えない。そのため、バッテリーが小さく、より効率の良いPHEVであるプリウス・ハイブリッドのほうが、マイナス要素が少なかったのだろう。

COURRiER Japon

 

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