Charade: シャレード

見え透いた見せかけ;偽装;こっけいな茶番

 

No. 2049 ウクライナ・シャレード、再び

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The Ukraine Charade, Revisited

By Pepe Escobar

 

2024年にウクライナが完敗したとしても、もう一度強調しておかなければならない。これはまだ終わっていないのだ。

 

ワシントンの権力中枢に散らばる選り抜きのプレーヤーたち、本当に米国を裏で動かしている人たちのメッセンジャーとして熱心に働く人たちは、ロシアとの全面対決はすべてのNATOの崩壊につながり、何十年にもわたる米国のヨーロッパに対する鉄の支配を解き放ち、最終的には米国の没落を招くと結論づけている。

 

瀬戸際外交的な駆け引きをすれば、遅かれ早かれ、動かせないロシアの不変のレッドラインに遭遇することになるだろう。

 

米国のエリートたちはそれよりも賢い。彼らは計算されたリスクには長けているかもしれない。しかし、これほど大きな賭けとなれば、彼らはいつヘッジし、いつ折れるべきかを心得ている。

 

ウクライナを「失う」ことは、今や図式的に必然となっているが、覇権国家全体を失うリスクを冒す価値はない。それは米国にとって失うものが大きすぎる。

 

だから、彼らがますます絶望的になり、帝国が地政学的・地理経済的に奈落の底に落ちるのを加速させると彼らは必死にナラティブを変えていく。それは彼らが得意とする分野だ。

 

NATOの支配下にある混乱するヨーロッパの属国が、いま完全にパニック状態にあるのはそのためである。

 

今週のダボス会議では、オーウェル風サラダが大量に提供された。鍵となる必死のメッセージはこうだ。戦争は平和だ。ウクライナは負けていないし、ロシアは勝っていない。だからウクライナはもっと兵器が必要だ

 

しかし、ノルウェーの森のストルテンベルグでさえ新しい重要な方針に従うよう命じられた。「NATOはアジアに進出していない。私たちに近づいてきているのは中国のほうだ。」それは地殻変動という概念に、新たな奇妙な意味が加えている。

 

永遠の戦争のエンジンをかけ続ける

 

ワシントンには「リーダーシップ」がまったくない。「バイデン」は存在しない。あるのはチーム・バイデンだ。それは事実上のネオコンであるブリンケンのような低俗なメッセンジャーを擁する企業の組み合わせである。彼らは裕福な “寄付者 “と実際にショーを動かしている金融・軍事の利害関係者の言うがままに、毎日毎日同じ陳腐なセリフを繰り返し、不条理劇場の端役に徹している。

 

1つの例で十分だ。

 

レポーター:”イエメンでの空爆はうまくいっていますか?”

 

米大統領:“うまくいっている、というのは、フーシ派を阻止しているということか?していない。空爆を続けるのかって?そうだ。”

 

同じ「戦略的思考」と称されるものは、ウクライナにも当てはまる。

米国は、テルアビブでの虐殺の取り決めと米国のシオニストのネオコンと連携してイランとの戦争に引きずり込まれることを望んでいるだけだ。西アジアでの戦闘に誘い込まれることはない。

それでも、帝国主義マシンはさまざまな速度で、ノンストップの永遠の戦争のエンジンを動かし続けるよう舵を切っている。

 

主導権を握るエリートたちは、チーム・バイデン全体よりもずっと冷静だ。彼らは、ウクライナ戦争で勝てないであろうことを知っている。しかしこれまでのところ戦術的勝利は大きい。必死に兵器を供給したことで莫大な利益を上げ、ヨーロッパの産業と主権を完全に根こそぎ奪い、EUを卑しい属国以下の地位まで引き下げたのだそして今後は、ポーランドやバルトの狂信者から過激派イスラム教徒ISISまで、ロシアに対抗する新たな代理戦士を見つける時間がたっぷりある。

 

プラトンからNATOまで、西側諸国にとってすべてが終わったと言い切るのは早計かもしれない。終わりかけているのはウクライナを中心とした現在の戦いだ。アンドレイ・マルティアノフが強調しているように、再びロシアが、西側によって西側に作られた悪魔と恐怖の家屋を解体するのは、ロシア次第であり、ロシアはロシアらしいやり方で再びそれを行っている、つまり戦場で打ち負かすことによって。

 

これがフランスの歴史家エマニュエル・トッドによる、新しい手榴弾のような本で述べられている詳細な分析の補足である。

 

しかし戦争はまだ終わっていない。ダボス会議で再び明らかにしたように、彼らは決してあきらめないだろう。

 

中国の知恵はこう諭している。「矢で人を射たいときは、まずその馬を射よ。すべての盗賊を捕らえたければ、まずその酋長を捕らえろ」。

 

その “酋長”あるいは “酋長たち”は 確かに、捕らえられるには程遠い。BRICS+と脱ドル化は今年からそれを試みるかもしれない。

 

富裕層の最終局面

 

この枠組みのもとでは、最近ウクライナの元国会議員アンドレイ・デルカハが明らかにしたような、米国の派手な「援助」による窃盗の組織や組織を含む大規模な米国とウクライナの汚職でさえ、単なる細部にすぎない。

 

それについては、これまで何も行われてこなかったし、今後も行われることはないだろう。結局のところペンタゴンそのものが毎回監査に不合格なのだ。ちなみにこれらの監査には、アフガニスタンでの数十億ドル規模のヘロイン事業からの収入さえ含まれていない。コソボのキャンプ・ボンドスティールはヨーロッパへの流通拠点として設立された。利益は帳簿外で、米国諜報機関のエージェントが隠れて受け取っていた。

 

フェンタニル(合成麻薬)がヘロインに代わる米国内の疫病となり、アフガニスタンを占領し続けることは無意味になった。だから米国は20年後、70億ドル以上の武器を残して混乱状態の中アフガニスタンを手放したのだ。

 

このような帝国中心の同心円状の腐敗と組織化された犯罪のすべてを、洗脳された西側集団に説明することは不可能である

中国人が再び、救いの手を差し伸べる。道教の荘子(紀元前369~286年)の言葉だ。「井戸の中で暮らすカエルに海のことを話しても無駄だし、夏の蚊に氷を説明しても無駄だし、無知な人と論じても無駄だ」。

 

ウクライナにおけるNATOの宇宙的屈辱はともかく、ロシア、ヨーロッパ、そして中国に対するこの代理戦争は、この2020年代の終わりまでに第3次世界大戦を引き起こす可能性のある導火線であることに変わりはない。それを決めるのは極めて少数の富裕層なのだろうか?いや、ダボス会議ではない。ダボスはただの道化師の代弁者にすぎない。

 

ロシアは電光石火のスピードで軍事工場システムを再稼働させ、現在では2022年1月時点の約15倍の生産能力を持っている。前線には約30万人の軍隊がおり、さらに後方にはウクライナ軍を二重に包囲して全滅させるために、各挟撃部隊に数十万人の機動部隊を配備した2つの挟撃軍が準備されている。

 

たとえ2024年にウクライナが完全に負けたとしても、もう一度強調しておく。これはまだ終わっていない。北京の指導者たちは、米国が崩壊の一途をたどり、分離独立の危機に瀕していることを十分に理解している唯一米国が結束する方法は、世界大戦なのだ。

さまざまな意味で、T・S・エリオットを読み直すときだ。「われわれは経験をしたが、意味を見落とした。意味へのアプローチが経験を回復させるのだ」。

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