孫崎 享 さんの記事です:
Date: Wed, 11 Feb 2015 07:11:28 +0900
Subject: ODAで軍支援可能に。全てから歓迎されるODAから敵勢力から反発招くODAへ
A:事実関係: 10日共同は次のように報じた。
「他国軍への支援を可能に ODA新大綱を閣議決定」
政府は10日、政府開発援助(ODA)の新たな在り方を定めた「開発協力大綱」を閣議決定した。大綱の見直しは約11年ぶり。他国軍への支援を対象外としてきた原則を変更し、非軍事目的に限って容認する。安倍政権が掲げる「積極的平和主義」を反映させ、国際情勢の安定に一段と関与を強める。軍と関係しない民生分野に限った途上国支援を続けてきた日本のODA政策にとって、大きな転換点となる。
政府は2013年12月に国家安全保障戦略を閣議決定し、ODAの「積極的・戦略的活用」を打ち出した。
B:評価
・日本は、過去、発展途上国のインフラ整備に支援し、まず経済協力を発展させ、その国の安定化を図り、政治が民主化される環境作りに協力することを目指した。
その際には、
相手国に自主性があること、
分野を経済協力や人道支援に限る
という政策を持っていた。
これらは受入国から歓迎される。かつ周辺国などからも特段の
反対はない。概ね歓迎である。
では軍事分野に経済協力を実践するとどうなるのであろうか。
軍事では必ず現実の敵、仮想敵がいる。
軍事協力の分野に入ることは、反対勢力から敵視される状況を作る。
最近ではまさに、安倍首相が人道支援等の分野でイスラム国周辺を支援するのに激しい反発を招いた。こうした現象が出てくる。
・(難民支援など、軍が中心に行っているケースがあるがこれをどう考えるか)
難民支援などは、軍だけではなくて、相手国の非軍事の組織、UNHCRのような国際的機関、国際的NGO等が活動する。イスラム国関連ではシリア、トルコ国境に多くの難民が存在しUNHCRが支援している。こうした支援を強化すればよい。
・(米国に従属するという声があるが)
経済協力では過去、日米には大きい差があった。
日本は、日本は、過去、発展途上国のインフラ整備に支援し、まず経済協力を発展させ、その国の安定化を図り、政治が民主化される環境作りに協力することを目指した。
他方米国の経済協力は、「米国的民主主義を拡大するための道具」として使ってきた。それは米国が軍事的に戦っている時に、これを支援する手段として使われてきた。日本が軍事分野に入っていくことはこの米国のODA政策のあり方と一体化するという事を意味する。これで問題なのは、この政策では必ず、戦う相手、敵側勢力から強い反対を招く。
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